近江牛.com (株)サカエヤ 新保吉伸の日記 | 経営者会報 (社長ブログ)
「食」を通して「美味しさ」とともに贅沢な時間と楽しさ、笑顔の「食卓」を提案します。
2013年02月02日(土)更新
安全性を追求すればするほど会社は痩せる
オルツォホルモンは焼く、煮る、炒める、炊く・・・
う~ん、他は思い当たらないが、イタリアンのシェフにかかればこんなことも
できちゃうんですね。近江牛ホルモンのオルツォです。
オルツォは、丸大麦で食感がもちっとして少し歯ごたえがあります。
これがホルモンと良く合うんです。
オルツォのほどよいプチプチ感でホルモンの硬さが活かされるんです。
この料理は、今月15日に開催する当社主催のイベント、
「肉Meets」のメーニューのなかの一品なのです。
すでに試食会も済ませており、7品目すべてが超絶なおいしさで、
一皿ごとにワインも合わせているので、もしかすればすべての料理を食べ終えた頃には、
みなさんベロベロで酔っ払い集団と化すかも。
ところで、この日はJR南草津駅前にあるイタリアン、サルティンボッカにてイベントに出す
料理の試食会が行われた。
その前に、、、だ。
店内に入ると、キレイな女性が満面の笑みで私を迎えてくれるではないか!
あまりにも素敵な笑顔だったので、私はてっきり知り合いだと思い込んでしまったが
実は初めてお会いしたのだった。
数か月前に、岡山県に在住の方よりメールをいただいていた。
サイトやブログ(→クリック)をご覧いただいているようで、仕事で滋賀に行くので
ぜひ熟成肉を食べたいとのことだった。
ただ、仕事で来られる場所は長浜(湖北)で、この地域には当店の卸先がなく
まったく逆側の南草津(湖南)でしか、熟成肉は食べることができないのだ。
ということで、わざわざ予定を変更していただき、JR南草津駅前のイタリアンの
名店、サルティンボッカまで熟成肉を食べにきていただいたというわけだ。
私と生産者の取り組み、考え方に共感していただき、当店のお肉をもっと
多くの方に知っていただき広めたいと、うれしい言葉をたくさんいただいた。
私たちの取り組みは、安全性への追求が1つのキーワードとなっているのだが
安全性を追求すればするほど、コストが高くなり利益が生み出しにくいという
現状がある。つまり会社が痩せていくのだ(笑)
しかし、共感していただける人が1人でもいる限り、なんとか踏ん張って明るい
未来のために、真面目にコツコツと取り組みを続けていきたいと改めて誓ったのだった。
2012年12月24日(月)更新
謙虚さ、パッション、夢
来年1月にNHKにて弊社の契約牧場(木下牧場)が特集を組まれて放送される。
約30分と結構長く放送されるのだが、私もところどころ出させていただく。
見ていただきたいシーンはたくさんあるが、私的には熟成肉の場面をぜひご覧いただきたい。
格付けの基準に当てはまらない近江牛をどうやったら旨くすることができるのか
というところからドライエージングに行き着いた経由もカットされなければ放送されるはず。
私たちが生産者や飲食店の方々と取り組んでいる、サスティナブル畜産は、
生産者、流通者、販売者とリレーし、消費者の食卓へと安全と安心を運ぶ
「Farm to Table(牧場から食卓へ)」を実践しています。
それは業界の垣根を越えた新しい取り組みであり、理想とする環境であることは
この10年を通して強く実感しています。
業種の垣根を越えた取り組み、たとえば肉屋が他の肉屋で学べる環境や
フレンチレストランの料理人がイタリアンレストランで学べる環境など、
それらを牛肉が繋いでくれる仕組み作りは今後も積極的にやっていきたい。
「オステリア・フランチェスカーナ」のマッシモ・ボットゥーラは、謙虚さ、パッション、夢、
この3つの〝食材〟が料理人にはなくてはならない、といっています。
教わる立場は、技術(料理)を学ぶだけではなく、3つの食材もぜひ学んで
いただきたい。
謙虚さ、パッション、夢、この3つは私も常に意識しているのだが
多忙になると苛立つこともあるし、包丁の扱いが雑になることもあるかも知れない。
謙虚でいれば常に新しい発想と出会うことができる。
今年は会いたい人、行きたいところへ積極的にでかけた1年だった。
パッションがあれば行動することが苦ではない。
真面目に生きていても不条理なことやどうしようもない困難に出くわすことがある。
でも、そういうときこそ夢を語るように心がけている。
さて、あまり更新しないブログなのでこの記事が今年最後となりそうだ。
クリスマスが終われば、1年でもっとも忙しい1週間がはじまる。
みなさん、良いお年をお迎えください!
2012年11月18日(日)更新
牛肉とワインだけで痩せられるのか
この写真は、熟成肉に挑戦して1年、ようやくお金がもらえるレベルの肉に仕上がったので
やまけんさんに試食して撮ってもらったときの1枚だ。
約1ヶ月、売切れ状態だった近江牛熟成肉(→クリック)だがようやく販売体制が整った。
しかも今回の熟成肉はかなりおススメです。
木下さんが最も得意とする「雪平×北国7の8」の血統なのです。
>>>続きはこちら
先週は講演が続いていたこともあり暴飲暴食が続いてしまった。
しかし、体重変わらず絶好調だ。
日頃からトレーニングを欠かさず食事も質の良いものを摂るように心がけているのでたまに無茶をしても太りにくい体質になりつつあるのだと実感する。
先日ご縁をいただいた新宿溝口クリニックの定真理子先生は、栄養療法に基づいて行う食事に関して、タンパク質の摂取増加を指導しているとのこと。
その中でも、卵や牛肉、豚肉などの摂取により効率的にタンパク質が摂取でき、またタンパク質を増やし、炭水化物(単純糖質)を減らすことにより、減量効果も望める、いわゆる糖質制限なのだが、私もしばらく試してみたが効果てきめんだった。
ガチガチにやってしまうとストレスになるので、夜のみ炭水化物を控えるように心がけた。
牛肉とワインだけで1ヶ月を過ごしたのだが見事に体重が減ったのだ。
ジムも週2回程度通っているので、そのあたりも影響していたのかも知れない。
とはいっても一歩外へでれば様々な誘惑があり、たまには負けてしまうのだが、それもまた良しで好きなものをある程度食べて健康でいられればHAPPYではないだろうか。
2012年09月15日(土)更新
短角牛「草太郎」を食す会は肉好きが世界中から集まった
まずはこの写真を見ていただこう。
グラスフェッドで育てた短角牛「草太郎」の持ち主というかオーナーの
やまけんさん(右端)、草太郎を育ててくれた畠山さん(右から2番目)
草太郎がさらにおいしくなるようにドライエージングした私(左端)
草太郎を最高の料理でもてなしてくれたサルティンボッカの木村シェフ(左から2番目)
わざわざ神奈川から駆け付けてくれたお肉大好き@クック&ダインの山口さん
そしてすばらしい企画と場所を提供してくれた南山@楠本さん(撮影)
まずはやまけんさんの「牛と牛肉」という講演からはじまった。
この人は本当に牛のことをよく知っている。
間違いなくそこらへんの肉屋より詳しい。
講演の後は、おまちかねの食す会だ。
ドライエージングした草太郎がこうなった!
手前がオーブンで火入れしたもの、奥がオイルコンフィだ。
私は少し心配だった。
と言うのも、通常最低でも40日間のエージング期間が必要なのだが
今回は、日程の都合上30日で仕上げなくてはならなかった。
前回の国産丸も私がドライエージングを担当したのだが
イマイチ熟成があまかった。
短角牛はもしかしたらドライエージングに向かないのかも知れない。
そんなことも若干思っていたりもした。
しかしだ、結果はそんな心配はまったく無用だった。
肉を鼻に近づけると、熟成香と呼ばれるナッツ香が微かにする。
それが噛みしめると強烈とまではいかないまでも間違いなく正当なドライエージングの
旨味を感じることができた。
草太郎は、いままで食べた短角牛のなかで一番うまかった。
じつは、もう1つ心配事があったのだ。
食べ比べとして焼肉で提供するとき、どうしても肉厚が出せない分
熟成香がまったくしない恐れがある。
事前に南山の江口さんに熟成肉のみ通常の3倍厚でカットするようにお願いしていた。
これはいままでの経験からくるもので、3倍厚にしないと熟成香が顔を出してくれない。
結果は、こちらも心地よい熟成香を堪能することができた。
当店のブランドでもある近江牛長寿牛も存在感をアピールした。
近江牛長寿牛に関しては、いまだ未販売なのだが近日中にページを作って
本格的に販売していきたいと考えている。
〆は草太郎の牛すじのリゾットだ。
お米は岩手県産の五穀米だが、これが思いのほか旨くてシビれた。
いやぁー、ホントにおいしかった!
全国から牛肉大好きな方々がこうやって一同に会するなんて
涙がでるほどうれしくて時間が止まってほしいと思ったぐらいだ。
そうそう、これを書くのを忘れるところだった。
この日は席が事前に決められていて、7番の席に私が座ると
しばらくして1人の女性があいさつに来られた。
一斉に会場中がヒートアップしたので(肉好きの集まりだから一気にしゃべりまくるのだ)
何を言ってるのかわからなかった。
どうやら私を知っているようで、メールがどうとかフランスがどうとか言っている。
少しづつ私の記憶の中の点が繋がり始めた。
あぁぁぁぁ・・・ボラン農場のmasayoさんじゃないか!
masayoさんは、フランス在住でアルモリカンという牛を飼っている。
それが短角牛と見分けが付かないほど良く似ていて数年前にメールのやりとりを
していたのだ。
なんと、この日のためだけにフランスからやってきたというのだ。
そう言うてるだけやろ、なんて思ったのだが話をお聞きするとどうやら本当らしい。
いやぁーすごい!
フランスへ来てほしい、いや、来てもらわないと困るんです。
などと懇願され、つい調子に乗って「行きますとも!」と言ってしまった。
あとで聞いたら、やまけんさんも「行く、行く」なんて気軽に返事したようで
これは社交辞令ではすまされそうな雰囲気でもなく来年あたりフランスへ行くかも。
なにはともあれ、すばらしい会であり、少しでも協力できたことに感謝し、
益々、牛肉が好きになった最高の1日でした。
2012年07月27日(金)更新
有名店で起こった残念な対応
ドライエイジングによる熟成肉にハマる人が増えつつある。
とはいっても、まだまだ馴染みがなく、いまのところ食通の方々や肉好き、料理人の
みなさんからのリピートが目立つ。
さて、先日の東京出張であきれるような出来事があった。
1年前、いや、もう少し前になるかも知れない。
ある著名な方(牛肉に詳しいグルメ系の大御所)に、東京で熟成肉を食べるところを
紹介してほしいとお願いした。
氏はここしかないとK店を紹介してくれた。
いま東京でまともな熟成肉を出す店はここだけだろう.....と。
東京に来るときは、私に連絡くれれば予約は取っておくからと言われたが
機会がないまま時日は過ぎた。
今週の火曜日、東京での仕事をすませ、翌日は夕方までフリーということもあり
K店にランチの予約を入れた。
覇気のない声でとりあえずは3名の予約を受けてもらった。
「覇気のない声」が気になり、当日確認の電話を入れてみた。
熟成肉は食べられるのですね、との問いかけに
ランチはパスタとハンバーグだけとの返答だった。
それでは意味がない。
熟成肉は無理ですか?
との問いかけに、そのときの状況によるので・・・・
・・・・・・・無言
とにかく覇気がなく、紹介であることを告げてもスルーされ
結局、キャンセルしてしまった。
「熟成肉」というキーワードを出しているので、どちらからですか?とか
雑誌を見ていただいたのですか?とか、なんらかのアクションがあるべき。
いくら有名なシェフの店でも、いくら有名な方の紹介であっても
いくらその店の料理がおいしかっても、結局は「人」である。
K店のシェフには「でんかのヤマグチ」の社長の本を読んでいただきたい。
2012年03月29日(木)更新
生産者と消費者の架け橋に
10年前、はじめて近江牛の生産農家さんを訪ねた。
消費者のみなさんは、生産者と販売者、
つまり農家と肉屋は密接な関係にあると思われているようだが
実際は、顔も知らないというのがホントのところだ。
自分が販売している牛肉が、どこのだれが育てたものなのか、
そんなことを知らないで、安心ですよ、安全ですよ、おいしいですから買ってください、
ってなんかおかしな感じがしますよね。
でも、これが現状なのです。
逆に、農家の人たちは、自分たちが飼養した牛さんの肉が
どんな味なのかを知らないまま育てているんです。
私は、農家の人たちに、自分たちの育てた牛さんの肉が、
消費者の方たちにどのような評価を受けているのか、
どうしたらもっとおいしくなるのか、そんなことを伝えたいと思いました。
とはいっても、私なんかが声を大にしたところで、聞き入れてもらえるはずもなく
かといって、じっとしている性分でもないので、何軒かの農家さんの私の想いを伝えました。
消費者が知る牛肉の情報は、一方通行のものが多く、
味そのものの楽しみ方ではなくサシによる見栄えで完結している。
日本の畜産は、ここ10年ほどで、格付け評価が厳しくなり、農家のみなさんは
サシを入れることに懸命になりはじめた。
結果として不健康な牛さんの肉が市場に出回り、
サシ重視の取引が多くなっていった。
そのことを知っている人は、畜産業界(特に精肉業者)の方でもあまりいない。
私の取り組みは、素材からやることで、まず、農家のみなさんと親しくなり、頻繁に牛舎に通った。
飼料のこと、血統のこと、病気のこと、牛さんに関することは些細なことでも気にして学んだ。
次第に、私は農家のみなさんと牛さんのことを対等に話せるだけの知識が身に付いた。
農家のみなさんも、私に牛さんのことを相談してくれたりもした。
私の強みは、生産者のことも消費者のことも、両方知っていることだ。
だからこそ、両者の架け橋になって、牛肉の文化を高めることが
自分に課せられた使命だと思っている。
サシ重視でずっと歩んできた日本の牛肉だが、
ここ最近は、赤身肉がブームになりはじめている。
健康志向やダイエットブームなどが影響しているのだと思うが、
私に言わせれば赤身肉のおいしさたるもの、もっと奥深いのだ。
その1つが、ドライエイジングによる熟成肉だ。
当社では、専用の冷蔵庫で40日間熟成させるのだが、
これが本当に旨くて感動ものなのだ。
主に経産牛を骨付きのまま熟成させるのだが、
柔らかくて深みのある味わいに生まれ変わる。
昔は、牛肉といえば高価なもので「ハレの日」のご馳走だった。
しかし、現在では、和牛の数が多すぎて贅沢感がかなり薄れている。
気軽にテーブルミートとしての牛肉もいいのだが、特別な日の贅沢な牛肉も
それはそれで楽しいと思うのだがいかがでしょうか。
そして、ワインや日本酒とのマリアージュも特別な日に楽しんでいただきたい。
2011年09月10日(土)更新
熟成肉は色気のある、エロティックな香り
熟成肉が仕上がってから、通常の冷蔵庫で保管してみたが7日がリミットのようだ。
これだと小売りはむづかしい。
やはり、業務用としての卸をメインに小売りを併用させる方法がベストなのかも知れない。
しかし、今回の熟成肉は旨すぎて試食した皆さんがメロメロになってしまっている。
もちろん私もメロメロで長年の恋が成就したような気持ちだ。
写真は、メロメロ仲間の山本謙治氏(やまけんさん)が撮影したものだ。
火入れもかなり丁寧にしていただいたようで
写真からも慎重に慎重に焼き入れた様子が伺える。
こういう肉が仕上がると、肉好きの友人の顔が数名浮かぶ。
勝手に送りつけるのだがいまのところ、「勝手に肉送ってきやがって!」
などといった苦情はない。
熟成肉に関しては、感じ方が様々なのだが
これ、これ、こういうことやねん、という感想をご紹介します。
今日、送ってもらったお肉、頂きました。
いやーなんかすごいですね。
香りを味わう、って言ってたけど、ほんと、今まで食べたことない
お肉ってかんじでした。
赤身だけど熟成させてるから、固くないしかといって、霜降り肉
みたいに、ジュワーッと肉汁があふれ出すって言うのもない、
ほどよい歯ごたえ、しかもちょっと厚めに切ってくれてたので、
特に、肉に歯が食い込んでいく感触が、まさに
「肉を食ってる!」
って感じですごく良かったです。
で、焼いてるときから、いい香りがしてましたが、口に入れると
ほんと、ふわーっと、リッチな香りが広がりますね。
なんだろう?
一般的な黒毛和牛の香りと全然違う、でも、まったくイヤでない
濃厚というか、豊かな香り。
例えばちょっと枯れたような作家(藤本義一さんみたいな)だと
「何とも、色気のある、エロティックな香り」って表現しそうな・・・
私が言うと
「このエロオヤジ何言うてんねん!」って言われそうですが(笑)
まあ、そんな感じの香りが広がりました。
少し違うけど・・・強いて言えばみそ漬けを食べたときに、
ちょっとこんな香りしましたね。
納豆とかがまったくだめな、お袋も(77歳ですが)
美味しい、美味しいって食べてました(^_^;)
とにかく、今までの肉と、全然違う新しいおいしさに出会いました。
お肉って、奥が深いですね・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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2011年09月08日(木)更新
熟成肉は10月末より販売開始!
温度0度、湿度90%で40日ジャストで仕上げてみた。
写真は10日目の状態だが、ここから日増しにカビがビッシリと断面を覆っていく。
40日目を目安に仕上げていく。
先日の記事にも書いたが、1年かかってようやく納得のいく
熟成肉が仕上がった。
フライパンで焼いただけだが
あまりにもうまかったので数名の友人に勝手に送りつけてみた。
熟成肉は、すき焼きやしゃぶしゃぶには不向きだと思うので
料理法としてはステーキか焼肉しかない。
もう1つ、牛サシで食べてもおいしい。
生食自粛で商売としては提供はできないのが残念だが
口の中でブワッと熟成香が広がり、いつまでも余韻にひたれる、
なんと表現していいのか、気のきいた言葉がみつからない。
さて、気になるのは焼肉屋さんで実際に焼いたときに
熟成香がキッチリ確認できるかどうかだ。
以前こんなことがあった。
韓国で飲んだ眞露がすごくおいしかったので
数本買い込んで日本に持ち帰った。
しかし、韓国で飲んだそれとはまったく別物で
どこかですり替えられたのかと思うほどだった。
環境や気候風土からくるものなのか、よくわからないが
熟成肉も家ではおいしかったがいざ、焼肉屋さんで焼くとおいしくなかったりして・・・
なんて思ってしまったりする。
そんなことを悶々と考えていたら、きたやま南山の楠本さんから電話がかかってきた。
これはラッキーとばかりに、熟成肉を車に積んで京都へ走った。
楠本さんと食通の2名を加えての緊急試食会がはじまったわけだが
料理長の江口さんには1.5㎝の幅でカットをお願いした。
期待に胸膨らませて弱火でそーっと鉄板に乗せて焼いてみた。
匂いは前日より強くなっていたので旨さも2倍か、などと思いながら焼きあげた肉を口に入れる。
どうしたことか、まったく普通だ。
予定していたドヤ顔は公開できず冷やさせタラリだ。
ならばと楠本さんがホイル焼きにしようと気を利かせてくれたが
少しマシになった程度で結果は同じだった。
もしやと思い、今度は塩コショウをせずに江口さんにカットしてもらった。
同じように弱火で焼いてみた。
今度は焼きあげた肉に少しだけ塩をつけて食べてみることにした。
みんなの目がまんまるになった。
いままで食べたことがない味に驚きのあまり
一瞬空気が止まったかのように感じた。
食通な方々も、いつまでも口の中が香りに支配された状態で
次の肉に箸がすすまない。
つまりは、満足感が半端じゃないということだ。
一同、しばし呆然・・・
熟成肉は10月末より本格的に販売を予定しています。
飲食店の方で熟成肉にご興味のある方は、
お気軽にお問い合わせください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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2011年09月06日(火)更新
ようやく納得できる熟成肉が完成した!
ようやく納得のいく熟成肉が仕上がった。
つまりは、売り物としてお金をいただける代物ということだ。
黴がはえた状態では見栄えが良くないので
黴を潰した状態で写真を撮ってみた(左)
右はリブとサーロインを分割したサーロインの断面だ。
顔を近づけるとナッツのような甘~い香りがなんともいえない。
これが熟成香というやつだ。
脂はねっとりしていて、こちらは上質なチーズのような香りがする。
いつものように30分程度弱火で焼くつもりだったのだが
思った以上に火の通りがよく、10分程度で焼きあがった。
熟成させると水分が飛んでしまうので、
ゆっくりと焼くのがセオリーなのだが、どうやらそのあたりは肉質によって異なるみたいだ。
と思っていたのだがどうやら違うみたいだ。
今日、やまけんさんと電話で話していてこのことに触れると
熟成期間が長くなると火の通りが早くなるとのことだった。
食べ方は2種類試してみた。
塩、こしょうはせずに焼いているので
ゲランドの塩を用意した。
陸には陸のもの、海には海のものとよく言われる。
つまり、牛肉は陸なのでモンゴルの塩などに代表される岩塩が適しているということだ。
しかし、私もけっこうな塩マニアだが、
牛肉に一番適しているのはゲランドの塩だと思う。
大粒のガリガリ感がよく合う。
さて、肝心の味だが、すばらしいとしか言いようがない。
硬い赤身肉がこれほどまで美味な肉になり
そしてなんともいえない香りが食欲をそそる。
結局私が思うには、熟成肉は赤身肉をよりおいしく食べるための手段の1つであり
香りを楽しむものなのかも知れないという1つの結論に達した。
つまりは、霜降り肉とはあきらかに一線を画した香りまでも楽しめる牛肉、
それが熟成肉なのである。
ちなみに、タリアータ・白トリュフオイルソースも試してみたのだが
こちらは肝心の香りがソースに消されてしまって熟成肉の良さをすべて消してしまった。
とりあえずは販売できる見通りがついたので調整にはいります。
こうご期待!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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2011年08月30日(火)更新
ドライエージングとウェットエージング
関西ウォーカーに牛肉サミットの記事が掲載されているということで
近くのローソンへ寄ってみた。
立ち読みせんと買えよ、て話ですが
もちろん、ちゃんと買いました。
ついでにグルメ雑誌をパラパラとめくると
「熟成肉」のことが載っていた。
最近、「熟成肉」の問い合わせが増えてきているので
メディアにも注目されつつあるのだろう。
ただ、格付けの「A5」が一人歩きしているように
熟成肉も一人歩きしないかと危惧する声もある。
私が思うに、A5に関しては、肉屋も飲食店もこだわりとして看板にしている店があるが
熟成肉は、飲食店からの引き合いはあるが、肉屋での扱いはむづかしいから
それほど危惧する心配はないように思う。
歩留まりが悪くなるので販売価格を高めに設定しなければいけないし
なんといっても、熟成が仕上がった頃が食べごろなので、一気に売りさばく必要がある。
つまりは、暇な店には不向きな商材と言うことになる。
それと、熟成肉に関しては、これが正しいというものがなく、
同じ条件で熟成をかけても仕上がりにバラつきがある。
私の考え方は、サシのよく入った、いわゆるA4やA5の格付け等級の優れたものは
なにも熟成させる必要はない。
と畜から1週間程度寝かせて精肉にすれば十分おいしいし
普通に売ればいい。
A2やA3、経産牛やホルス、輸入牛など赤身で身が締まった肉を
熟成させてこそ威力を発揮するのが本来の熟成肉の価値であり熟成技術だと思っている。
当然ながら表面を削るので歩留まりは悪くなる。
このあたりが熟成肉の賛否両論なところなのだが、
命あるものを大切に育てて、おいしく食べてもらうことが生産者の願いであるならば
肉屋は、それらの肉をおいしく仕上げることが仕事なのだ。
さて、熟成には、「ドライエージング」と「ウェットエージング」の2通りがある。
詳しくは過去記事をご覧いただきたい(→クリック)
先にも書いたように、当店ではA4やA5をわざわざ熟成させることはやっていない。
あくまでも赤身の肉を基本にドライエージングしている。
熟成(エージング)の本場、米国では骨付きのままエージングする方法が主流だが
日本では、歩留まりが悪くなる点とバクテリアができるだけ少ない状態に維持する冷蔵庫の問題から
真空パックしたまま熟成させるウエットエージングが多い。
しかし、肉を真空パックにすると、キリングを30~40日に設定するのだが、
日が経つにつれ独特の真空臭がし、ドリップが激しくどう考えてもエージングではなく
日持ちさせるための方法としか思えないのだ。
日本の牛肉のほとんどが、屠畜場からセリにかけられ、問屋で部位別にカットし、
真空パックした各部位を箱詰めしたいわゆる「ボックスミート」流通が主流であり、
それを肉屋やレストランなどか仕入れるのである。
肉質や真空パックの機械の精度にもよるのだが、
例えば水気の多い肉を真空パックにしてしまうとドリップがよく出る。
ドリップが脂や肉にまわってしまい、結局は日持ちのメリットはあるものの
味を損なうと言うデメリットが生じる。
こんな感じでドリップが発生する。
ドリップシートを入れるのだが、ご覧のように追いつかない。
真空パックは品質保持のためには良い面もたくさんあるのだが
日持ちさせるためだけに考えるのなら、味の劣化は多少なりとも仕方ないところだ。
枝肉を知っている者にとっては、このような意見になってしまうのだが
輸入肉のチルドで経験を積んだ者は、また違うのかも知れない。
どちらにしても、やり方は多種多様なのでどれが正解と言うものはないのだが。
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