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中学生の優太君が育てた「泰輔」が肉になった日

投稿日時:2011/04/20(水) 08:20rss


肉牛農家、いわゆる“牛飼い”には3つのパターンがある。
「繁殖農家」、「肥育農家」、そして「繁殖・肥育一貫農家」だ。

滋賀県は、圧倒的に肥育農家が多く、九州などの子牛市場から
生後8ヶ月前後の子牛を買い付けて育てるわけだ。

写真の藤井牧場さんも元々はホルスタインの肥育農家だったのだが、
2001年のBSEを境に、黒毛和牛の繁殖・肥育一貫に切り替えた。

ホルスタインから黒毛和牛への転向は一大決心だったと思うが
周りに恵まれたおかげで、最近では結果もついてきているようだ。

さて、どこの農家も、子どもたちが大きな戦力となり
家族総出で牛飼いをしているわけだが、藤井さんところの優太君もその1人だ。

私が優太君と出会ったのは2年ほど前だったように記憶している。
いや、もっと前だったかも知れない。
当時は中学生だった。

とにかく牛が大好きだという優太君に、両親は一頭の牛を預けた。

出荷するまでの約30ヵ月間、雨の日も風の日も“泰輔”と名付けた雄牛の
面倒をみることになった。

そして、4月13日とうとう出荷の日がやってきた。

528kgの枝肉になり、4月18日の近江八幡市「近江牛」枝肉共進会のセリにかけられた。

優太君にとっても“泰輔”にとってもハレの舞台である。

とはいっても購買者にとっては、そのような事情はどうでもよくて
優等1席、つまりチャンピオン牛狙いの人がいたり、格付けで買い付けたりと様々である。

なかには、格付けや生産者はどうでもよくて、自身の目利き力のみで
購買する方もいたりする。

私の場合は、まず交流のない生産者の枝肉は買わない。

それは、性格も知らないし、どのような環境でどのような飼料を食べさせて育てたのか見えないからだ。

牛を飼うのに、生産者の性格は関係ないように思えるのだが、
私の考えは、温厚な生産者が育てれば牛も温厚になり、
気が荒い生産者が育てれば、牛も気が荒くなり、しいてはそれが肉質に影響すると思っているからである。

話を戻そう。

優太君の“泰輔”は、上場番号が701番で、最後から2番目のセリ順だ。

脂が少し多く歩留まりが悪いように思えたが、肉質は良い。

脂はある程度カットするので、肉質さえよければなんら問題はない。
落札値より割高になるが、優太君が一生懸命飼った牛だからこそどうしても落札したかった。

そして、優太君自身が食べてこそ一人前の牛飼いに少しだけ、ほんの少しだけ近づけるというものだ。

私も楽しみな“泰輔”は、10日程度寝させてから販売します!




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