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あなどるなかれ経産牛

投稿日時:2010/10/08(金) 10:00rss

keisanny
55ヶ月齢の経産牛、格付けB2、BMS3
捌いてカットしたてなので色濃く発色していませんが、味の格付けがあるならA4ランク

ある日のこと、弊社の社員、パートさんを集めて様々な肉の試食をした。
試食は毎日のようにしているのだが、この日は仕入れ業者の方々にも
参加してもらっての試食会、というより食べ比べ。

近江牛の去勢、末経産の雌牛、他県産和牛、国産牛、F1

もちろん我らが近江牛が断トツにうまいのだが、外部参加者の1人が
経産牛がうまい、うまいとパクパク食いだした。

味音痴と言われかねない行動、言動にしばしシーンとしたが、
けっして味音痴ではなく、これこそが消費者が求める味であり、
声ではないかと真面目に考えさせられた。

経産牛とは、数回の出産を終えた牛で、肉質が硬く、風味、
食感ともに落ちるため、精肉として商品化されることはほとんどなく、
大半は加工用原材料として用いられている。

そのため、枝肉としての市場出荷価格はかなり安価となっている。

近江牛をはじめとするブランド牛を冠にした加工品(カレーやハンバーグ)に
経産牛が使われることが多い。

冷静に考えればわかることだが、ハンバーグにしろカレーにしろ、
高価な近江牛がいくら加工品といえども300円や400円で販売で
きるはずがない。

近江牛というだけで、すべて一緒に考えてしまいがちだが、
近江牛の加工品には経産牛が使われていることが多い。

そうでなければ商売として成り立たない。

もっと言うなれば、普通にすき焼きやステーキで販売している、
A4やA5の肉を加工品にすれば間違いなく赤字である。

もし、A4、A5の近江牛が加工品に使われていて、
しかも大量生産型の商品であれば、疑うべきだろう。

当店の近江牛専門店が極めたカレーについては
生産農家さんの協力があってこその商品ゆえ、通常の流れには当てはまらない。

少し話がズレてしまうが、食肉の熟成には「ウェットエージング」と
「ドライエージング」の2種類がある。

一般的には、ウェットエージングが主流だが、私が興味あるのは
ドライエージングだ。

エージングに関しては、来月、某大手企業の新工場へ視察に行くので
そのときにまとめて書くとして、経産牛をドライエージングすれば、
かなり旨い牛肉ができると思う。
いつかチャレンジしてみたいものだ。

話を戻すと、経産牛は結論から言うと、硬いのは否めないが
部位によっては十分精肉として販売できるし、カットの方法によっては
ものすごく滋味深くおいしくなる。

サシの多い黒毛和牛種よりも、あっさりとした食感なので
胃もたれもしないし、なんといっても奥深い味と香りが良い。

これは人間でもおなじなのかも知れない。
若い子もいいが熟女の奥深さはさらにいい(失礼^^)

papa

先日、後藤牧場さんにお伺いしたときに、
後藤喜与一さんが今後の取り組みについてこんなことを言っていた。

経産牛のあり方を考える必要がある。
肉質は硬めだが、なんともいえない味がある。
19産したなかのり号のように、再肥育して出荷するようにしたい、、、と。

すばらしいと思う。

この様子はUstreamで配信したのだが、周りの声があまりにも
うるさかったこともあり、聞き取りにくいので公開はやめておく。

おさらいをすると、肉牛には去勢牛と雌牛があり、肥育期間は
去勢牛のほうが2~3ヶ月短い。

これは雌牛のほうが去勢牛より生育スピードが遅いためである。
ちなみに、雌牛は、子を産んでいない未経産の状態で出荷する。

肥育の仕方も未経産牛と経産牛では異なり、未経産牛は肉牛となることが
前提だから、穀物中心の餌(濃厚飼料)を与えて育てる。

一方、経産牛の目的は子を産ませることなので(繁殖牛という)
たくさん子を産んでもらわなければ元がとれない。

そのためには、1日でも長く健康に育ってもらわなければいけないので
稲藁(粗飼料)を中心として配合飼料をバランスよく与えて育てることになる。

そして、何産かしたのちに廃用牛として出荷される。
まだまだ出産できる状態でも、途中で問題があれば出荷ということになるのだが
それでも廃用牛として出荷になる。

もう子を産めないとなっても、そのまま飼うことはほとんどない。
前にも書いたが、飼い続けるとエサ代がかかっていまう。
牛はペットのように愛玩動物ではなく、経済動物であるから仕方がない。

しかし、後藤さんはなかのり号を廃用牛にせずに、再肥育して
見事にすばらしい肉牛として甦らせた。

その経験を元にチャレンジしていくということだ。

私のほうは準備万端で、すでに「近江長寿牛」という商標も登録済みである。

さて、このブログでも何度かご紹介している奇跡の近江牛「なかのり号」の
19産目「大維志号」が京都はきたやま南山さんにて食べることができます。

なかのり号が最後に産んだ子です。
お肉を食べるだけでも幸せですが、縁起の良いお肉となると
なんだか良いことが起こりそうです。まさに奇跡の牛肉です。

秋の近江牛まつり 期間:10月8日(金)~31日(日)
「大維志号」の他に、木下牧場さんの近江牛もお召し上がりいただけます。
詳しくはこちらを(→クリック

10月の京都は最高に美しく、世界中から観光客が訪れます。
市内から少し北へ足を伸ばして、ぜひ「きたやま南山」へお出かけください。

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コメント


待ってました!

なかのり号の味は、忘れられません。
ホルモンも粗飼料育ちの最高級でしたし・・・。
お母さんを大切にしよう! と、私も声を大にして訴えたいです。

Posted by 南山の“ど経産”社長 at 2010/10/08 17:58:00 PASS:

RE:待ってました!

ど経産って(笑)

ホント、あの味は忘れられませんよね。

経産牛を再肥育してドライエージングしたら
どうなるのかとか・・・

いろいろ考えると寝られない日が続いています。

経産牛が見直される日もそう遠くないですね。

Posted by 新保 at 2010/10/08 20:00:00 PASS:
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