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2011年08月30日(火)更新

ドライエージングとウェットエージング

コンビニで立ち読みすることは滅多にないのだが
関西ウォーカーに牛肉サミットの記事が掲載されているということで
近くのローソンへ寄ってみた。

立ち読みせんと買えよ、て話ですが
もちろん、ちゃんと買いました。

ついでにグルメ雑誌をパラパラとめくると
「熟成肉」のことが載っていた。

最近、「熟成肉」の問い合わせが増えてきているので
メディアにも注目されつつあるのだろう。

ただ、格付けの「A5」が一人歩きしているように
熟成肉も一人歩きしないかと危惧する声もある。

私が思うに、A5に関しては、肉屋も飲食店もこだわりとして看板にしている店があるが
熟成肉は、飲食店からの引き合いはあるが、肉屋での扱いはむづかしいから
それほど危惧する心配はないように思う。

歩留まりが悪くなるので販売価格を高めに設定しなければいけないし
なんといっても、熟成が仕上がった頃が食べごろなので、一気に売りさばく必要がある。

つまりは、暇な店には不向きな商材と言うことになる。

それと、熟成肉に関しては、これが正しいというものがなく、
同じ条件で熟成をかけても仕上がりにバラつきがある。

私の考え方は、サシのよく入った、いわゆるA4やA5の格付け等級の優れたものは
なにも熟成させる必要はない。

と畜から1週間程度寝かせて精肉にすれば十分おいしいし
普通に売ればいい。

A2やA3、経産牛やホルス、輸入牛など赤身で身が締まった肉を
熟成させてこそ威力を発揮するのが本来の熟成肉の価値であり熟成技術だと思っている。

当然ながら表面を削るので歩留まりは悪くなる。
このあたりが熟成肉の賛否両論なところなのだが、

命あるものを大切に育てて、おいしく食べてもらうことが生産者の願いであるならば
肉屋は、それらの肉をおいしく仕上げることが仕事なのだ。

さて、熟成には、「ドライエージング」と「ウェットエージング」の2通りがある。

詳しくは過去記事をご覧いただきたい(→クリック

先にも書いたように、当店ではA4やA5をわざわざ熟成させることはやっていない。
あくまでも赤身の肉を基本にドライエージングしている。

熟成(エージング)の本場、米国では骨付きのままエージングする方法が主流だが
日本では、歩留まりが悪くなる点とバクテリアができるだけ少ない状態に維持する冷蔵庫の問題から
真空パックしたまま熟成させるウエットエージングが多い。

しかし、肉を真空パックにすると、キリングを30~40日に設定するのだが、
日が経つにつれ独特の真空臭がし、ドリップが激しくどう考えてもエージングではなく
日持ちさせるための方法としか思えないのだ。

日本の牛肉のほとんどが、屠畜場からセリにかけられ、問屋で部位別にカットし、
真空パックした各部位を箱詰めしたいわゆる「ボックスミート」流通が主流であり、
それを肉屋やレストランなどか仕入れるのである。

肉質や真空パックの機械の精度にもよるのだが、
例えば水気の多い肉を真空パックにしてしまうとドリップがよく出る。

ドリップが脂や肉にまわってしまい、結局は日持ちのメリットはあるものの
味を損なうと言うデメリットが生じる。


 



こんな感じでドリップが発生する。


 



ドリップシートを入れるのだが、ご覧のように追いつかない。


真空パックは品質保持のためには良い面もたくさんあるのだが
日持ちさせるためだけに考えるのなら、味の劣化は多少なりとも仕方ないところだ。


枝肉を知っている者にとっては、このような意見になってしまうのだが
輸入肉のチルドで経験を積んだ者は、また違うのかも知れない。

どちらにしても、やり方は多種多様なのでどれが正解と言うものはないのだが。





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2011年08月29日(月)更新

イナズマロックカレー

(財)日本食肉消費総合センターは、
22年度季節別食肉消費動向調査報告(22年12月調査)をまとめているが
メニューの出現を見てみると、夕食の料理メニューでは季節を問わずカレーが1位だった。
出現頻度を平日と休日とで比較すると、平日が14.2%、休日が11.0%という結果だ。

2位はすき焼きで、休日の出現頻度が19.3%、平日の出現頻度が10.7%
平日よりも週末に家族や仲間内で食べるという鍋料理の特徴が表れた数字だ。





さて、1位のカレーだがいまや国民食といっても過言ではないほど
食べる頻度も高く、レトルト市場もカレーが占めている割合が多い。


当店で販売している近江牛専門店が極めたカレー
発売以来、おかげさまで売れ続けている。


1個30gのゴロッとした肉の塊が入っているのが特徴だが
1頭まるごと仕込んでいるのでロースもヒレもチマキも
すべて混ざっている。

通常この手のカレーは、誤解を恐れずに言うならば
どのような肉が入っているか分からない。

100円とか200円程度のカレーなら
輸入物の安価な牛肉を使っていることは安易に想像できるのだが、

ブランド和牛のカレーが多く出回っている現状において
1回に仕込む製造ロット数を考えると、そんなにブランド和牛を使えるのか?
と不思議に思うことがある。

実際、加工品はトレーサビリティの表示義務もないわけだし
煮込んでしまえば国産牛も和牛も輸入牛もわからない。

とまぁ、高速道路のサービスエリアでご当地カレーを見かけるたびに
こんなふうにうがった見方をしてしまうわけなんです。


そんなこともあって、数年前に、生産農家さんの協力の元
一頭まるごとすべてカレーに仕込んで、個体識別番号も表示した
出所の確かなカレーを作ろうということで出来上がったのが近江牛専門店が極めたカレー
なのです。

スーパーや量販店からの引き合いも多いのですが、
ささやかな抵抗というか、他のカレーとは一線を画しているので
一部の販売店を除いてはすべてお断りしているのが現状です。





こちらは、一頭まるごとカレーとはまったく違ったコンセプトでお手伝いした
イナズマロックカレーです。


イナズマロックフェス2011(→クリック


サカエヤで販売している近江牛から
スネ肉やモモ肉などをミンチにしてキーマカレーに仕上げました。


県内のローソン全店にて好評販売中です。








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2011年08月28日(日)更新

柚子屋旅館 一心居



 

際コーポレーションの店舗はいったいいくつあるだろう。

1号店の「韮菜万頭(にらまんじゅう)」からはじまり、
いまでは600ぐらいはあるのかな。

どの店も個性的、独創的でパワーを感じる店づくりは
異業種といえども参考になる点が多くある。

八坂さんの隣にある「柚子屋旅館 一心居」は
京都の水尾の柚子を使った一風変わった料理旅館だ。


柚子雑炊が看板というだけあって、
店内にも本物の柚子が積み上げられていたり、柚子の絵が飾ってあったりと
とにかく柚子づくしだ。

もちろん、料理のあちらこちらに柚子が使われている。


万人受けする店ではないと思うが、
見方を変えれば、万人受けしなくてもいいという前提の店づくりであれば
ある意味、マーケットを無視した考え方でも成り立つといえる。



びわ湖で獲れた鮎がでてくると滋賀県人としてはテンションがあがる。

接客してくれたスタッフの立ち居振る舞いがすばらしかった。

聞けば某大学の学生だというではないか。

マニュアル通りの接客ではなく、こちらの質問にも
自分の意見も交えて笑顔で応えてくれる。





看板メニューの柚子雑炊だ。

かき混ぜると柚子の香りが何ともいえず心地よい。

しかしだ!いくら好立地の柚子屋旅館でも
それだけでは集客できないのが飲食業でもある


3年だったか4年だったか前に、際コーポレーションの中島社長の本を読んだことがある。


そのなかに、こんなことが書かれていた。


柚子屋旅館は柚子をテーマにしているがそれだけでは
ブランディングできない。

そこで働くスタッフが柚子屋旅館のイメージをはっきりと認識することが必要だ。

最近、日本の「和」を感じるものが少なくなってきているので
柚子屋旅館で「和」を感じてもらう。

そのために、柚子屋旅館とはどういう旅館なのかという共通意識を
スタッフ全員が持ち、行動しお客様に示していくことが重要である。

柚子屋旅館のスタッフミーティングは板の間で正座して行う。

そうすることで、自分たちの旅館はきちんとしているのだという自意識を、
マインドを育てるのである。

そのマインドはスタッフの行動、言葉使い、立ち居振る舞い、すべてに表れる。


・・・・というような内容だった。


これはどの商売にも言えることであって、
当店の朝礼が長いのも共通意識をスタッフ全員が持つためである。


お恥ずかしい話だが、以前は今日販売しているのはどこのだれが育てた牛なのか、
個体識別番号は何番なのかを答えられるスタッフがいなかった。

もちろん、生産履歴書で確認すれば答えられるのだが
それでは意味がない。

個体識別番号は10桁からなり、入荷しているすべての番号を頭で把握していないと
商品管理ができないどころか、番号違いの牛肉を販売しかねない。

いまは、朝礼でいかに個体識別番号が重要かを念仏のように言い聞かせている。
それがサカエヤのマインドであり、「きちんとやってる」という共通意識なのだ。

毎日の繰り返しが自信となり、接客にも表れる。

うちの牛肉は安全です!といったところで何をもって安全なのか?

放射性セシウムの問題しかり、いくら証明書があっても
結局は、積み重ねた取り組みがあってこその安全だと思うのだが。
 


 


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2011年08月27日(土)更新

タリアータ・白トリュフオイルソースで食べる近江牛のヒレ肉



赤身肉の評価がすこぶる良い。

脂でギトギトしていた肉しか食べないと豪語していた知人さえも
赤身肉がうまいと言いだしはじめた。

しかし、赤身肉ならなんでもうまいかと言えば
けっしてそうではない。

ホルスもUSもオージーもなんでもかんでも赤身なら、
ということになってしまう。

最終的には料理の仕方によるところが大きいかと思われるが
私は料理人ではないので、なにをおいてもまずは「肉選び」が大事だ。

次いで「熟成」、そして出荷の「タイミング」だ。

普通にフラシパンで焼いてもそれなりにおいしくはなるが
素材の良さを引き出すには、火入れがポイントとなる。

赤身肉の最高峰といえば、言わずと知れた「牛ヒレ」だが、
当店では、小売りはやっていない。

すべて、レストランなどに業務用として卸している。

ただ、例外もあって、一般のお客さんでも、1本買い取るという方には
特別にお分けすることもある。

写真は、お客さんのご要望通り、1枚150gでカットさせていただいた
残りの端部分を私がいただいたものだ。

牛ヒレは、30分かけてじっくりローストしてみた。

卵黄にコロンナのトリュフオイルを一滴たらしかきまぜるだけで
極上のソースが出来上がった。

ベースのソースとの相性も抜群で、これなら簡単にできて
ちょっとしたパーティにも使えそうだ。




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2011年08月26日(金)更新

おいしい食卓にこそ牛肉を
























先日の新聞に「給食で牛肉使用自粛」という見出しがあり

記事はこう続いていた。


稲わらの汚染問題が明るみに出て以降、国が牛肉の全面的な出荷制限をかけたのは
岩手、宮城、福島、栃木の4県。宮城県については一部制限が解除されている。

しかし、牛肉に対する不安は4県以外の産地にも飛び火している。

農林水産省によると、少なくとも17道県産の牛肉で取引価格が下落。
関東以東産が中心だが、岐阜、三重、島根県産でも価格が下落しており、
消費者の牛肉に対する不安はなかなか消えない。

中でも子供への影響を危惧する保護者の不安は根強い。
文部科学省には今でも毎日のように、電話やメールで給食で使われる牛肉を含めた食材について、
意見や問い合わせが届く。

風評被害の拡大を懸念しつつ、保護者の不安解消を優先した自治体教委もある。
大阪府東大阪市教委の場合、9月から当面、小学校54校の給食で牛肉の使用を見合わせるが、
保護者から使用自粛を求める意見が届いたわけではないという。


とまぁ、こんな内容だが、当店でも影響はでている。


地元の幼稚園や保育園に食肉を使っていただいているのだが
先月から牛肉メニューを少しずつ豚肉メニューに変更しつつある。

安全なのは分かっているが、ほんの少しで不安であれば
自粛したいというところだろう。


かたや、病院や公共施設などからは、
牛肉をもっと増やしたメニューに変更したいとの要望をいただいている。


当店では、以前より自主検査を行っているので安全面は問題ないのだが
それよりも、おいしい牛肉を食べたいということだろう。


「独食」、「個食」が問題になっている昨今、
家族が揃って食卓を囲むことが少なくなってきている。

「いただきます」「ごちそうさま」などのしつけは
家庭の「食卓」で行われてきたものだが、いまは学校の給食時がその役割となっている。

そこに牛肉が担う役割は大きいと思うのだが、
安心して食べられる牛肉が全国に流通するよう早期解決を願うばかりだ。


 


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