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2013年02月02日(土)更新

安全性を追求すればするほど会社は痩せる




オルツォホルモンは焼く、煮る、炒める、炊く・・・

う~ん、他は思い当たらないが、イタリアンのシェフにかかればこんなことも
できちゃうんですね。近江牛ホルモンのオルツォです。

オルツォは、丸大麦で食感がもちっとして少し歯ごたえがあります。
これがホルモンと良く合うんです。

オルツォのほどよいプチプチ感でホルモンの硬さが活かされるんです。

この料理は、今月15日に開催する当社主催のイベント、
「肉Meets」のメーニューのなかの一品なのです。

すでに試食会も済ませており、7品目すべてが超絶なおいしさで、
一皿ごとにワインも合わせているので、もしかすればすべての料理を食べ終えた頃には、
みなさんベロベロで酔っ払い集団と化すかも。

ところで、この日はJR南草津駅前にあるイタリアン、サルティンボッカにてイベントに出す
料理の試食会が行われた。

その前に、、、だ。

店内に入ると、キレイな女性が満面の笑みで私を迎えてくれるではないか!

あまりにも素敵な笑顔だったので、私はてっきり知り合いだと思い込んでしまったが
実は初めてお会いしたのだった。

数か月前に、岡山県に在住の方よりメールをいただいていた。
サイトやブログ(→クリック)をご覧いただいているようで、仕事で滋賀に行くので
ぜひ熟成肉を食べたいとのことだった。

ただ、仕事で来られる場所は長浜(湖北)で、この地域には当店の卸先がなく
まったく逆側の南草津(湖南)でしか、熟成肉は食べることができないのだ。

ということで、わざわざ予定を変更していただき、JR南草津駅前のイタリアンの
名店、サルティンボッカまで熟成肉を食べにきていただいたというわけだ。

私と生産者の取り組み、考え方に共感していただき、当店のお肉をもっと
多くの方に知っていただき広めたいと、うれしい言葉をたくさんいただいた。

私たちの取り組みは、安全性への追求が1つのキーワードとなっているのだが
安全性を追求すればするほど、コストが高くなり利益が生み出しにくいという
現状がある。つまり会社が痩せていくのだ(笑)

しかし、共感していただける人が1人でもいる限り、なんとか踏ん張って明るい
未来のために、真面目にコツコツと取り組みを続けていきたいと改めて誓ったのだった。



 

2012年12月24日(月)更新

謙虚さ、パッション、夢




来年1月にNHKにて弊社の契約牧場(木下牧場)が特集を組まれて放送される。
約30分と結構長く放送されるのだが、私もところどころ出させていただく。

見ていただきたいシーンはたくさんあるが、私的には熟成肉の場面をぜひご覧いただきたい。

格付けの基準に当てはまらない近江牛をどうやったら旨くすることができるのか
というところからドライエージングに行き着いた経由もカットされなければ放送されるはず。


私たちが生産者や飲食店の方々と取り組んでいる、サスティナブル畜産は、
生産者、流通者、販売者とリレーし、消費者の食卓へと安全と安心を運ぶ
「Farm to Table(牧場から食卓へ)」を実践しています。

それは業界の垣根を越えた新しい取り組みであり、理想とする環境であることは
この10年を通して強く実感しています。

業種の垣根を越えた取り組み、たとえば肉屋が他の肉屋で学べる環境や
フレンチレストランの料理人がイタリアンレストランで学べる環境など、
それらを牛肉が繋いでくれる仕組み作りは今後も積極的にやっていきたい。

「オステリア・フランチェスカーナ」のマッシモ・ボットゥーラは、謙虚さ、パッション、夢、
この3つの〝食材〟が料理人にはなくてはならない、
といっています。

教わる立場は、技術(料理)を学ぶだけではなく、3つの食材もぜひ学んで
いただきたい。

謙虚さ、パッション、夢、この3つは私も常に意識しているのだが
多忙になると苛立つこともあるし、包丁の扱いが雑になることもあるかも知れない。

謙虚でいれば常に新しい発想と出会うことができる。

今年は会いたい人、行きたいところへ積極的にでかけた1年だった。
パッションがあれば行動することが苦ではない。

真面目に生きていても不条理なことやどうしようもない困難に出くわすことがある。
でも、そういうときこそ夢を語るように心がけている。

さて、あまり更新しないブログなのでこの記事が今年最後となりそうだ。

クリスマスが終われば、1年でもっとも忙しい1週間がはじまる。

みなさん、良いお年をお迎えください!


 




2012年07月07日(土)更新

お取り寄せで久しぶりに感動した




ネット通販をはじめた頃は、いろんなところでお取り寄せして勉強させてもらった。

もちろん今でも気になったものはお取り寄せするのだが
仕事がらというか、まず最初にチェックするのが同梱物だ。

商品の説明書、会社案内、パンフレットなどなど・・・
お店によってオリジナリティー溢れるものから、何も入っていない素っ気ないものまで。

ほとんどのショップが、挨拶状のようなものを入れてくるが
私は過去、さらっと流す程度はあるが、じっくりと読んだという記憶がない。

特に、直筆風のお手紙はすぐにゴミ箱行きだ。
直筆をコピーしたものも同様。

・・・今日は栃木のあるお店から商品が届いた。

私のフルネームが書かれた封筒が同梱されていた。

中には、2枚の便せんにビッシリ書かれた手書きのメッセージが入っていた。

あきらかに私宛だと思える文章なので間違いなく手書きだ。
なによりも、その文字には温かさを感じる。

ひさしぶりにお取り寄せで感動した。

と同時に、文字がすばらしいさを再確認させてもらった。



2012年07月01日(日)更新

デジタルにはアナログが効く





店舗に来店くださったお客さんに、なんとかファンになってもらおうと
あれこれ企画するのはどこも同じだと思う。

ホームページを案内したり、会員登録してもらってメルマガ送ったり
クーポン発行したりと、デジタルな世界へ誘導しようと懸命だ。

Twitter、Facebookのファンページもしかり、
次から次へと新しいものがでてついていくのに忙しい。

一方、ホームページでモノ売りしている人たちはどうしているのか?

どうしているのかという表現もどうしたものかと思うが
てっとり早いのがリスティング広告だ。

新規客獲得には必要なのかも知れないが
なかには、センスのかけらもないキャッチコピーがあったりして
だれか注意したれよと思ったりする。

ところで、新規顧客獲得に一生懸命で、既存顧客のフォローができていない
そんなことはないだろうか?

一時期、梅酒に凝って、ある店で1年で100回以上は購入した。
しかし、この店の接客がよくなかった。

購入直後の自動メールはまぁ、しょうがないとして、2通目の受注確認メールが
いつも定型文なのだ。おまけに購入後のフォローメールも定型文。

実店舗もあるとのことなので、一度行ってみようと電話したところ
これまた無愛想で、名乗る気さえしなかった。

たぶん、名乗っても「いつもありがとうございます!」すらなかっただろう。

もちろん今はこの店で買っていない。
というか、梅酒すら飲まなくなった。

ところで、ネットショップから手書きのニュースレターが届くとドキッとして
ちょっとうれしいものだ。

デジタルにはアナログが効く

そう感じるのは私だけではないと思うのだが。

写真は、ハグルマ封筒の今村さんから届いたニュースレターだ。

自筆にも愛を感じたのだが、驚いたのは発行者(今村さん)の携帯電話番号が書かれていた。

これってすごいことだと思うんですよね。

想われてるなぁって・・・



2012年06月12日(火)更新

プレミア近江牛が順調な仕上がりで楽しみ2倍





facebookの近江牛.comファンページにうれしいコメントをいただいた。
ご紹介いただいたリンクをたどると農水省の官僚の方のエピソードが書かれていた。

農水省にもこんな方がいたんだと目頭が熱くなった。
読み進めていくとトレーサビリティを作った方のようだ。
お会いしたかったが、残念ながらお亡くなりになられているようだ。

ご興味のある方はぜひお読みいただきたい(→クリック

7月11日に十勝、帯広でお話しさせていただくことになった。
「フードECサミットin十勝帯広」というすばらしいイベントだ。

これからレジメを作るのだが、畜産関係者の方々も来て下さるということなので
牛の話もたくさんしたいと思う。

先日、花園大学でお話しさせていただいたときに、
生徒たちに霜降り肉と赤身肉のどっちが好き?
という質問をしてみた。

数年前なら、圧倒的に霜降り肉が多かったのだが結果は半々だった。

牛は産まれて8ヵ月あたりまでは、粗飼料を中心に与えてそれ以降は
穀物飼料を与える。

その穀物飼料は、ほとんど海外品に頼っているのが現状だ。
日本の食糧自給率は40%を切っているわけだが、厳密にいえば牛肉は日本で作られているが、
穀物は輸入品だから、これは自給食糧とは言えない。

話を霜降り肉に戻すと、10年ほど前からビタミンコントロールという技術が流行りだした。
私は技術だとは思っていないが、ビタミンを欠乏させてサシを入れるというやり方だ。

牛の肥育にはビタミン剤を与えるのだが、必須栄養素であるビタミンA剤をカット
することにより、意図的にサシを入れるのだ。

驚くなかれ、カットしない場合との差は歴然なのだ。

ビタミンコントロールを行った場合、Aランクになる確率は高く等級は4~5、
BMSは8以上になりやすいと言われている。

実際は、格付け基準が厳しくなってきているので、そのあたりは定かではないが
ビタミンAコントロールによって、牛の健康を損なうことも実際にはあるので理由はどうあれ
私は賛成しかねない。

そうやってサシを入れた牛肉が、いくらキレイな見栄えをしていても
おいしいとは思えないし、自信を持ってお客さまに販売することはできない。

2年前から、木下牧場さんにお願いしてグラスフェッドによる飼育をはじめている。

自家産のサイレージ(粗飼料)を通常の2倍与えて、穀物飼料は与えない。
穀物の代わりに、地元でとれた米ぬかやおから、豆乳粕などを与えるというわけだ。

穀物を与えないで育つのだろうかと、そんな声も聞こえてきそうだが
写真のとおり健康に育っている。

もちろん、ビタミンコントロールもしていない。
ただ、粗飼料をたっぷり与えて育てているので、穀物飼料で育てた牛と比較すれば
カロリーやタンパク質の量は違ってくる。

おまけに、増体効率も明らかに劣るため、枝肉重は300kg台の可能性が高い。

当然ながら、給与できるカロリーも少ないから、サシの量も期待できない。

しかし、牛はもともと草食動物なので、自然のまま育てた結果として
サシがあろうがなかろうが、事実として病気もせずに健康に育っている。
毛ツヤも最高に良く、今月21日の出荷が待ち遠しいぐらいだ。

私は、10年後の日本の畜産のあるべき姿がこの牛のような飼育だと思っている。

7月19日に、きたやま南山にて試食会を行うが、ぜひ畜産関係者はもとより
牛に興味、関心のある方は歴史の証人になっていただきたい。

ちなみに、当日は私も南山の厨房に入らせていただきお手伝いさせていただく。
そして、肝心の料理は、南草津のイタリアン、サルティンボッカの木村シェフに
腕をふるっていただく。

楽しみすぎて今からわくわくが止まらない。

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