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2010年10月04日(月)更新

サシ志向から赤身志向へ、そして霜降り肉の行きつく先は。

sashi

牛はそもそも牧草が主食のため、
サシが入りにくい。

ところが、黒毛和種にはサシが入る。
これは、遺伝的能力と食肉用として改良に改良を重ねた結果であり、
それは日本が世界に誇る技術でもある。

肥育前半にしっかりとした腹作りをし、
成長にしたがって大豆やトウモロコシなどの濃厚飼料を与える。

それだけではバランスが悪いので、ビタミンで調整するのだが、
その中でも必須栄養素がビタミンAだ。

ところが、ビタミンAは与えすぎるとサシが入りにくくなるという
欠点がある。

そのために、ビタミンをコントロールするのだが
肥育農家さんは、このタイミングがむつかしいようで
ビタミンAが欠乏すると、牛は足腫れや肝炎、さらには目が見えなくなったりする。

そこまでして霜降りの肉牛を作る必要はあるのか?

霜降りというのは、筋肉に脂肪を入れさせて作り上げるものです。
言い方を変えれば、霜降りになるように作り上げていくのです。

精肉になったサシを芸術品のような美しさと例えられます、
私個人的な感想をいえば、微妙な心境です。

このあたりに関しては、賛否両論あると思いますが
現実的には、消費者はサシ志向から赤身志向へ変わりつつあるのも事実。
もっというなら、サシ重視から“味重視”に変わりつつあります。

霜降り肉であっさりとしている肉牛作りが理想ではあるが、
いまのところ「霜降り肉=くどい」が現実的です。

融点が低いといってもサシが入るロース系はくどいです。
融点が低いから、雌牛だからあっさりしているというのは、
売り手側の勝手な思い込みだけです。

もちろん、たまにそういう肉もあることはあるが、稀です。

今後は研究を重ね、霜降り肉でもあっさりとした食感の肉牛が
作られる可能性もあるが、願うのは牛にも人間にも負荷がかからない育て方で、
おいしい肉牛を作ってもらいたいものです。

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2010年10月02日(土)更新

ミノ、ハチノス、センマイ、ギャラ、これすべて牛の胃なんです。

粗飼料

ここ10日ほどで8kgも増えてしまった。

あ、私の体重の話です。

原因はあきらかに食べすぎです。
運動もしているのですが、食べる量が半端じゃないので
運動しても、運動しても追い付かない状況です。

それと、ダイエットに成功したという過去の体験に慢心している自分がいて、
いつでも痩せられると思っているのがダメですね。
分かっているんですが、まだまだ増えそうな勢いです。

食欲の秋じゃないけど、とにかくよく食べます。
胃が4つあるんじゃないかと思うほど食べます。

ってことで、少し強引ですが、今回は「牛の胃」のお話です。

牛には胃が4つあるのはご存知でしょうか?

それぞれに役割があり、1番目の胃は、
バクテリアや微生物の働きで食べたものを分解します。

ビタミンAが不足すると、1番目の胃の粘膜が低下し
酸が吸収されにくくなります。
こうなると「サシ」が入りにくくなるのです。

このあたりのお話は後日、詳しく書きます。

2番目と3番目の胃は、水を吸収する働きをします。
1~3番目の胃に関しては、一度食べた草を反芻(はんすう)するための機能
となっています。

4番目の胃は、人間の胃と同じような働きをし、
消化液が出て微生物を分解します。

焼肉店のメニューで表すと、1番目の胃はミノ、2番目の胃がハチノス
3番目の胃がセンマイ、4番目の胃が赤センマイ(ギャラ)になります。

焼肉店で何気に食べているこれらの部位、すべて胃なのです。

詳しくはこちらをご覧ください(→クリック


私なんかは人間ドックで胃カメラ飲みながら、
あ、テッチャンや、あ、赤センや!
などと思いながらモニターを眺めています。

ある種の職業病ですな。

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2010年10月01日(金)更新

ハラミは牛肉だと思っている人が多いようですが。

harami

先日、某TV番組のスタッフから電話があった。

注文しても数ヶ月待ち、数年待ちの商品はありますか?

という内容だった。

実は2年ほど前にもこの番組スタッフから電話があって、
そのときは、近江牛ハラミを紹介した。

当時、数ヶ月待ちだった近江牛ハラミだったが、
番組で紹介されるやいなや、注文が殺到して2年待ちになってしまった。

エルメスの特注ケリーバッグならいざ知らず、
商売人として、これだれ待たせることなどあったはならないことだ。
大いに反省する点である。

そんなこともあって、
今回はお断りさせていただいた。

現在は、到着日は指定できないが
注文は随時受け付けている。

>> 近江牛スーパーハラミ(→クリック

10年、いやもう少し前かな、焼肉といえばロースとバラ(カルビ)しか
メニューになかった時代です。

それが牛肉の自由化により、
米国産のハラミが安価で市場に出回まわりました。

すると一気に「焼肉=ハラミ」が定番化したのです。

輸入牛のハラミが食べ放題の焼肉メニューを支えていたこともあり、
一般的には「ハラミ=安い肉」というイメージが強く、
ハラミは安い牛肉の代名詞だったのです。

かたや和牛のハラミはというと、いまでこそ希少扱いされ入手困難な部位として
重宝されているのですが、当時はそれほど和牛のハラミに執着がなく、
どちらかといえばロースの脇役扱いだったのです。

しかも、ハラミは牛肉ではなく、内臓肉に分類されるため、
業界的にも世間的にも格下のイメージとして扱われていました。

いまでこそ「ハラミ」という料理名が確立していますが、
当時はハラミとしてではなく、『ロース』という料理名で出していた店が
けっこうありました。

一頭の牛からわずかしかとれないがゆえに、
メニューとして成り立たなかったのです。

それがいまでは、逆転の発想とでも申しましょうか、
数量が確保されないことで、逆に希少性が高まり、
しかも空前の内臓ブームと重なり、世間のニーズにピッタリとハマッた
ようです。


さて、ハラミとはどこの部分なのかご存じですか?


焼肉好きの方は、たぶんご存じだと思いますが、
ハラミは、牛の横隔膜になります。

一頭(約400~500kg)の枝肉から2kg程度しかとれません。
そこからさらに肉厚の部分だけを選りすぐるため、正味1.0kg程度しか
とれないのです。

しかも近江牛のハラミは産地でも手に入らないほどのプレミア品です。

常時「生」の状態で確保することは非常にむつかしく、
しかもハラミは変色が激しく、食べ頃を見誤ってしまうと品質が低下
してしまいます。

焼肉店で、和牛のハラミがメニューにあり、極上ものがでてきたら、
その店はしっかりしたルートを確保しており、他の内臓類も間違いなく
新鮮で美味だと思います。

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2010年09月30日(木)更新

チャンピオン牛はおいしいのか?

tchi

近江牛、松阪牛、神戸牛、前沢牛、米沢牛、飛騨牛・・・
これらブランド牛の産地で開催される品評会(共進会、共励会)で
一等賞を受賞した牛(枝肉)に与えられる名誉が「チャンピオン牛」です。

正確には、最優秀一席、優等牛など、各地によって名称が異なるようだが、
近江牛の場合は、優等一席、優等二席、優等三席など、
品評会によって様々な賞が用意されている。

さて、そんなチャンピオン牛だが、とにかく高い!

毎年テレビのニュースにもなる「松阪肉牛共進会」での
最優秀牛(チャンピオン牛)は1頭あたり5,000万円前後の値がつくから
話題性としても抜群です。

さすがにこの価格は異常ですが、チャンピオン牛ともなると、
ご祝儀相場もあり通常の価格よりかなり高値で取引されます。

5000万円で落札した牛をいったいいくらで売るねん、
という話はさておき、チャンピオン牛は価格に見合った味なのか?
ということを検証していきたいと思います。

それだけ高い価格のチャンピオン牛だから、
さぞかしお味のほうも特別なのだろうと思われがちですが、
何度も書いていますが格付け評価に味はあまり考慮されていないのです。

当店も過去に9年連続でチャンピオン牛を落札し続けた実績がありますが、
味の追求というより、店の看板やPR目的の場合がほとんどです。

例えば、なにもないより「チャンピオン牛落札の店」を看板にしたほうが
なんとなく安心感が増すような気がします。
トロフィーや盾を飾れば店の価値も上がるというものです。

焼肉店なら、チャンピオン牛入荷しています。
と店頭でPRすれば、なんかすごそうな感じがしますし、
携帯メルマガで配信すれば集客につながるかも知れません。

チャンピオン牛になるには、格付け等級でA5、BMS(霜降り度合い)で
最高ランクの11~12の評価を受けなければいけません。

生産者にとっては、チャンピオン牛は勲章です。
手塩にかけて育てた我が家の牛が、チャンピオン牛になれば
いままでの苦労が報われますし、現実的な話をすれば子牛の元がとれて
利益もたくさん出ます。

しかしながら、何度も言いますが“味”は無関係なのです。
購入者はあくまでも“味”を求めて落札するのではなく
宣伝目的が大半なのです。

BMS12ともなれば、半端じゃない霜降り具合です。
1切れ食べれば大満足になることでしょう。

結論ですが、チャンピオン牛に味を求めるとガッカリする場合があります。
特にチャンピオン牛だからといって、いつもより高く販売しているお店には
違和感を感じずにはいられません。

高く仕入れたのだから高く売るということなのでしょうが、
一般消費者に販売する場合は、チャンピオン牛だからさぞおいしいだろうと
高くても思い切って購入されるわけです。

むやみにチャンピオン牛を看板にしている店や、過去の記録を
いつまでも掲げている店より、チャンピオン牛でもいつもと同じ価格で
販売しているお店こそ信頼できるお店だと思います。

チャンピオン牛は、生産者にとっての目標であり丹精込めて育てた結果です。
それが誇りとなって、肥育にも力が入るというものです。

ただ、購買者はなんの労力もいりません。
現実的ですが、お金さえ払えば買えるのですから。

だから、チャンピオン牛販売店の看板にはなんの効力もないのが
実際のところなのです。


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2010年09月28日(火)更新

未経産の雌牛ってホントにおいしいの?

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未経産の雌牛って

そもそもなに?


要は子供を産んでいない雌牛のことなのですが、

「和牛は雄牛より雌牛のほうがうまい」とか
「当店では未経産の雌牛にこだわっています」

といったことをよく耳にしたり、
雑誌やネットなんかでも見かけたことはありませんか?

畜産業界では昔から雌牛は融点が低く、
とろけるような旨さがある、と言われてきました。

今日はそのあたりを検証していきたいと思います。

「当店では未経産の雌牛しか販売していません!」

「こだわり」ということを前面に出したやり方の1つとしては良いと思いますが、
果たして本当に雌牛はおいしいのでしょうか?
もとい、雄牛より雌牛のほうがおいしいのでしょうか?

例えば、松阪牛の定義には「雌の未経産和牛」というのが義務付けられています。
ということは、松阪牛に雄牛は存在しないということになります。
「松阪牛=ALL未経産の雌牛」です。

神戸牛は、素牛が兵庫県産(但馬牛)で未経産の雌牛または
去勢牛という定義になっています。
こちらは雄牛でも良いということになっています。
「神戸牛=未経産の雌牛or去勢牛」です。

では、近江牛の定義はというと、雌牛、去勢、どちらでもOKなのです。

ちなみに去勢は、雄の子牛を生後5~6ヵ月令で実施します。
目的は肉質を柔らかくし、不飽和脂肪酸が得られることと、
雄牛特有の荒さがなくなり飼養しやすくするためです。

定義は産地により異なりますが、
数年前までは、確かに雌牛のほうがうまいとの声が多く
今も雌牛がうまいと信じて疑わない方もたくさんおられます。

しかし、肥育環境が大きく様変わりし、県や大学なで研究も行われたり
なによりも生産者の技術が昔に比べたらあきらかに向上しています。

そして結果として、去勢牛も雌牛に勝るとも劣らない品質になっています。
雌牛は融点が低いからとろけるなんてことは、なにも雌牛だからということはなく、
去勢牛であってもサシが入った部分であれば脂が溶けるのはあたりまえで、
「雌牛だから」という表現はいまや拘りにはならないのです。

私は雌牛も去勢も目利きして納得したものだけを仕入れていますが
雌牛ありきで仕入れることは目利きではなく、アピールの1つだと思います。
店のカラーやポリシーと言ってしまえばそれまでですが。

味も同様で、熟成をしっかりさせれば、雌牛も去勢も大差がありません。
何度もいいますが、雌牛だからあっさりしているということはあり得ません。
雌牛でも去勢でもサシがたくさん入った部位はたくさん食べられませんし、
4~5切れも食べればくどさが勝ってしまいます。

「最近は昔のようにサシが入った肉が食べれなくなった。
それよりも赤身の肉がおいしく感じるのは年のせいかなぁ」

こんな声をよく聞きます。
年のせいでもなんでもありません。
サシありきの牛肉は、普通の人なら間違いなくたくさん食べられません。

拘るのなら雌牛や去勢ではなく、だれがどのような環境で育てたのかであり、
そして旨さの追求は血統によるところが大きいのではないかと思っています。

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