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2010年12月17日(金)更新

価格以上の価値を感じてもらえるように

kaomise

京都南座の新春顔見世、

市川海老蔵さんの代役として、
片岡愛之助さんが抜擢されどうなることかと思っていたが、
さすがプロというか3日でセリフを覚えたそうだ。

しかも、連日「外郎売(ういろううり)」の曽我五郎を
見事に演じきっている。
ホントにすごい、すごすぎる。

実際に舞台を観た人は、ほんまに3日で覚えたの?

と、思ったに違いない。

それほど感動的ですばらしい。

写真は次の演目の前に、花道を点検する大道具さんだが、
彼らがいるからこそ、役者さんは安心して演技に集中できるというものだ。

さて、12月に入ってからお歳暮シーズンということもあり、
来店されるお客さんの6割がギフトのご注文だ。

1つの商品を作るまでに、いったいどれだけの人が関わっているのだろうか。
舞台を点検する大道具さんを見て、ふとそんなことが頭をよぎった。

生産農家さんにはじまり、包装資材屋さん、印刷屋さん、デザイン屋さん、
箱屋さん、運送屋さん・・・

思いつくだけでもこれだけの人に支えてもらって
商売させてもらっているんやなぁ

と思うと、身の引き締まる思いだ。

片岡愛之助さんのように、
期待されている以上の価値を感じてもらえるよう、
そんな商品をお届けしたい。

それがこだわりであり、プロとしての仕事だと思う。



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2010年12月16日(木)更新

おせちに日本酒、そしてすき焼き

zaku

1年で一番の繁忙期をむかえるわけですが、
20日を過ぎると一気に年末モード全開で突っ走ります。

つまりは徹夜が続くということなのですが、肉屋にとっては
年末年始が大舞台であって、そのために1年間準備していたような
ものなのです。

ジムでトレーニングするのもこの日のため、
風邪をひかないように普段でもマスクをかかさないのも
この日のためです。

毎年のことなのですが、
今年も気がつけば31日の夜は放心状態のような気がします。

さて、年明けは1日だけお休みをいただいて
2日からは初売りのため早朝より仕事初めとなります。

買い物も行けない状況のため、元旦のおせちは
知人の藤村屋さんでお願いし、
お酒はこれまた知人の佐野さんにお願いしました。

おせちは3年連続で藤村屋さんのところでお願いしています。
特に目新しいものはなく、別段凝ったものも入っていないのですが
正統派のおせちで丁寧な仕事をされていてほんとにおいしいです。

デパ地下なんかで大量に売られている高価なおせちを買うぐらいなら
ぜったい藤村屋さんのおせちをオススメします。

お酒は、いろいろ迷ったのですが作(ざく)にしました。
ガンブラファンではないのですが、最近のお気に入りです。

さて、正月の楽しみはおせちだけではなく
毎年、2日はすき焼きを食べると決めています。

そんなん、いつでも食べられるやん

と突っ込まれそうですが、

私にとっては、正月に食べるすき焼きこそもっともおいしくて
思い出深いのです。

幼い頃から共稼ぎだった両親と
ゆっくり顔を見ながら食事できるのは正月ぐらいなのです。

そして決まってすき焼きでした。

母親は豪快なので、鍋に牛肉を入れて
煮え切らないうちに砂糖と醤油を適当にガバッと入れて
あとは父親が味の調整するといった具合です。

こんなこともあって、私にとってのご馳走は
いまもたぶんこれからもすき焼きなのです。

いまでこそ、牛肉は珍しくもなんともないのですが
私が小さい頃はご馳走感が強く、肉屋という職業を選んだいまでも
正月に食べるすき焼きは、私にとってはご馳走なのです。


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2010年12月15日(水)更新

お肉で終わりお肉で始まる年末年始

fuzii

さぁ、12月も残すところあと半月

当店の冷蔵庫は、まさに牛だらけの状態で
年末年始に販売する枝肉でギュギュウ詰めです。

あ、シャレやないですよ。

昨日は近江牛のセリでした。

通常のセリとは異なり、
「おうみ和牛繁殖協議会」主催のセリということで
滋賀県生まれの滋賀県育ちという純血近江牛たちが勢揃い。


なんのこっちゃ?


って感じですが、つまりはこういうことです。

近江牛の大半は、宮崎や鹿児島などの子牛市場で
繁殖農家が出荷した子牛を買ってきて、
滋賀で約20ヶ月育てて食肉市場へ出荷します。

出荷後は、と畜され枝肉となり
問屋が購買したりセリにかけられたりするわけなのですが、

今回のセリは、自分家(ち)で雌牛を持ち、
優秀な種雄牛の精液を購入して人工授精し、
産まれた子牛を28~32ヶ月育てて食肉市場へ出荷するという
繁殖から肥育までを行う生産農家さんだけのセリなのです。
つまりは、生まれも育ちも滋賀県ということです。

元々は、近江牛も松阪牛も素牛は但馬牛だったのですが、
昭和40年代、地域の農協による素牛の購入が増えはじめ、
九州産素牛が導入されるようになったのです。

ちなみに、滋賀県の特徴としては、専業の肥育農家が多く、
また、この当時から経済連の預託事業が盛んになり、
農家は牛を買いにいかずにすむという時代に変わっていきました。

とはいっても、こだわり派の農家(松井、橋場、澤井牧場など)は
各地の子牛市場まで出向いて買い付けるということを行っています。

これらを肥育農家と言い、いまも但馬の血統にこだわって繁殖と
肥育を一貫して行っている農家を繁殖一貫農家と呼びます。

どちらが良いというものではなく、好みの問題ではあるが
明日から毎日のように、但馬系や九州系の近江牛が入荷します。

年末年始までちょうど2週間、ほどよく熟成されて一番おいしくなる頃に
みなさまの食卓へお届けいたします。


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2010年11月14日(日)更新

丹後のカニは知れば知るほど奥深くてうまい

ude

魚政さんで茹でたばかりのセコ蟹を食べさせてもらった。
なんて贅沢な!当然ながらうまいに決まっているのだが、
想像を絶するとはこのことだ!

しかし、魚政さんの作業は1つ1つがものすごく丁寧だ。
これは素人目にもわかるぐらいで、そこまでするかと言うぐらい細かい。

数年前に北海道の某カニ工場で同じような作業を見たことがあるが、
魚政さんの仕事と比較すると雲泥の差だ。

見えないところで努力していることを、
わざわざひけらかす必要はなく、味を支えている企業努力というものだ。
すなわち、「おいしいには訳がある」というのはこういうことだと思う。

こういった作業が魚政さんのプライドであり、
カニに対する感謝の気持ち、お客様目線での仕事だと感じた。

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2人のおばちゃんがセコ蟹を黙々とバラしていく。
このときは何をしているのか分からなかったのだが
じつはこうなるのだ!

sekose

ここまで丁寧な仕事をされると他は太刀打ちできないでしょうね。
もちろん作業自体は真似ることはできるが、
素材までは真似できないですからね。

以前にネットショップの勉強のため、
有名なカニの店から足ばかり入ったお徳用セットを取り寄せたことがある。

すごく売れているショップなので、発送の状態や梱包などを勉強するつもりで
取り寄せただが、それなりに参考にはなったものの、カニは散々だった。

100本近く入っていたが、2~3本食べて嫌になった。

スーパーで買う輸入の冷凍ガニもそうだ。
薬品のような臭いがしてしゃぶしゃぶにしたら最悪で出汁までマズい。

この味しか知らない、これがカニだと思っている人には
十分満足なのかも知れないが、
本物を知ってしまえば、間違いなく二度と食べれなくなるだろう。

いくら安くても。

安くて良いものなんてあるはずがない。
あってもそれは賞味期限前のお買い得商品ぐらいで
手間隙かかったものは、それなりの対価を払って満足するものだ。

肉でもカニでも魚でも、
少量でもいいから良いものを口にしてほしいと思う。

さて、肉の話をすると、
滋賀の人はすき焼きにしろ、焼肉にしろ
近江牛ばかり食べているイメージがあるらしい。

まさかである。
肉屋でもそんな頻繁に近江牛ばかり食べているわけではない。
私は、試食もあるので毎日食べているが、それは例外というものだ。

それよりも、近江牛は外に流通しているほうが多く
県外消費のほうが多いような気がする。

県や協会、販売店の努力もあり
最近でこそレストランなどで近江牛の扱いが増えてきたが
まだまだ他県産や国産、輸入牛に押されている感は否めません。

カニの産地でも同じです。
旅館などで出しているカニがすべて地ガニかと言えば
けっしてそうではありません。

実際、私も経験しているのですが、
輸入の冷凍ガニと地ガニが混ざって出されたり、
コースによって区別していることが大半なのです。

お客さんのニーズ、予算に合わせて利益を考えると
ある程度は仕方がないことかも知れないが、
もっと工夫して、地ガニを食べていただく努力をしてほしいものです。

こういった問題は卸をしている人は
すごく深刻に感じていることだと思います。

レストランのシェフと話していても
近江牛がおいしいのはわかりますが値段が合わない
という声をよく聞きます。

販売価格を先に安く決めてしまうから
安価な国産牛や輸入牛を使わなければ商売として立ち行かなくなるわけです。

だいたいが安く売りすぎなんです。
地元の方こそ商品の値打ちを理解すべきなのです。

滋賀に観光に来て牛肉を食べたら
観光客なんかは勘違いするわけです。

極端な例ですが、
他県の方が滋賀の喫茶店で焼肉定食食べただけでも
表示がなければ近江牛だと勘違いするかもわかりません。

カニもまったく同じ現状で
丹後の方にこそ本当のカニはこんなにおいしいということを知ってほしい、
食べてほしいと願っていると思います。

それには、消費者の意識改革が必要なのかも知れない。

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2010年11月13日(土)更新

ランクではなくお客さんが何を求めているのか

昨日からの続きでカニの話です。

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柴山港を後にして帰り途中に
津居山港のセリを見学させていただいた。

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カニの相場は産地が違えば10倍以上も浜値が違う。
さらに、同じ産地でもランクによって価格差があるから目利きは難しい。

例えば、選別が日本一厳しいといわれてる柴山港では、
甲羅幅(1年で1cmが基準)、重さ、身入り、柔らかさ、足の数、色、傷など
すべてを組み合わせてランク付けするそうで、昨日も書いたがその数は
100以上あるそうです。

すべてをパーフェクトに満たしたカニが良いかと言えば、
けっしてそうではありません。

取引先の要望に合わせて仕入れるのが仲買人の仕事です。

重さにこだわる取引先もあれば、足折れでも安く仕入れたいという
取引先もある。

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足折れガニひとつとっても奥深く、捕獲されてから足が折れたものと
網にかかる前から折れていたものがある。

カニは危険を察知すると自分で足を落として逃げる習性があり、
しばらくすると生えてくる。

実際に谷次さんに現物で説明してもらったが、
傷口がかさぶたになって黒くなっているものや傷口から肉が見えているものなど、
同じ足折れガニでも、茹でたあとのことまで考えて仕入れなければいけない。

これは牛肉でも同じで、見栄えの良いA5が良いとは限らない。
アタリ、シコリなどの瑕疵の程度、熟成に絶えられる枝肉かどうか、
さらには精肉にしたときの味のことまで考えて目利きしなければならない。

つまりは、お客さんが何を求めているかである。

 まだまだつづく

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