大きくする 標準 小さくする
前ページ 次ページ

2011年07月05日(火)更新

牛の性別


日本人の霜降り信仰は世界的にも有名な話だが
牛肉の世界にはいろんな信仰がはびこっている。

例えば、雌牛信仰だ。


「当店では未経産の雌牛しか扱っていません」


「最高級の雌牛のみ販売しています」


このようなフレーズを見たり聞いたりしたことは一度はあるかと思います。

近江牛(オウミウシ)の場合、繁殖・肥育一貫農家と肥育農家が存在するのだが

繁殖・肥育一貫農家は、雌牛を何頭か所持していて、
家畜改良事業団などから雄牛の精液を購入して種をつけ、子牛を産ませて育てるのだ。

一方、肥育農家は、家畜市場などで7~8月齢の子牛を買い付け、肥育させて出荷する。

松阪牛のように、雌牛のみと定義付けされているわけではないので
近江牛の場合、雌牛も去勢もどちらも存在する。


◎松阪牛の定義
三重県の雲出川以南、宮川以北の地域で肥育日数500日以上、
牝の未経産和牛で、規格は問わない(A5でもA3でも松阪牛となります)


さて、牛の価値は

オス<去勢<メス

このように評価されるのが一般的だ。

理由は、メス牛はオス牛よりも脂肪がつきやすく
脂の融点が低くくて柔らかな肉質に仕上がるからだ。

農家によっては、オス牛は成長が早く経済効率がいいので
メス牛を一切飼わないパターンもある。

我々肉屋側からみてみるとメス牛はとっても扱いにくい。

特に今年のように暑くなりそうな夏場は
いくらエアコンをガンガンに効かせても、メス牛の肉は脂が柔らかいので
作業効率を早めないと溶けてしまう。

では、実際に去勢されたオス牛の肉は
メス牛の肉に劣っているのかというと、
私は一概には言えないと思う。

メス牛であれオス牛であれ、サシが入れば入るほど
脂の味がきつくなり、味わうという概念からはほど遠くなる。

しかし、メス牛はうまいという業界人は昔から多く
肉のことを少しかじった料理人もそういった傾向にありがちだ。

好みの問題はもちろんあるだろうし、
料理によっては若干異なるかも知れないが
メスでもオスでも私は大差ないと思っている。

むしろオスのほうがダイナミックな味わいを感じることがあり、
好んで買い付けたりすることもある。


 


Twitter「つぶやく」ボタン

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

近江牛さかえや

近江牛の販売【近江牛ドットコム】
ホルモンの販売【ホルモンドットコム】
近江牛業務用卸
業務用焼肉のたれ

2011年07月02日(土)更新

牛飼いという仕事



 

霜降り肉は高く売れるから、農家はそういう牛を育てます。

畜産関係者にとっては、当たり前のことだが
これからはそうもいってられない。

日本人の霜降り信仰が少しずつ崩壊しつつある。

昨今、A5という言葉が独り歩きしているが
肉の旨さを追求すると赤身肉にたどりつく。

そういう意見、考え方が増えてきた。

雑誌でも赤身肉の特集が組まれたりしている。

牛の評価は、格付けが指標となっているのだが
いくら血統だの飼料だのといったところで
最終的には見栄えではなく「味」なのだ。

食べておいしくなければリピートがない。

では、おいしい肉とはどういったものを言うのだろうか。

好みの問題もあるだろうし、その日の体調にもよるだろう。
また、1人で食べるのと大勢で食べるのとでは
あきらかに「おいしさ」は違ってくるはずだ。

当店では、入荷した肉を社員、パートさん、アルバイト全員で試食する。

同じ肉でも、日をおいて試食する。

私に限っては、調理方法を変えて試食するために
自宅に持ち帰ってさらに試食する。


もう、毎日
肉、にく、ニク、nikuなのだ。


それでも、日々味が変化していく。


それが肉のおもしろいところでもあり
むずかしいところでもある。


さて、ある農家さんが育てた牛が
とにかく評判が良くて、リピート率も高かった。


ところが、ある時期から
まったくおいしくなくなってしまった。


脂くどいだけで味もなく
あまり言葉に出したくないのだがまずい。

それから2回ほど購入したが
やはりまずかった。

その農家さんの牛は、それ以降仕入れることはなかった。

久しぶりに会った農家さんは、
鋭気のない目をしていてなんだか元気がなかった。
会話してもマイナスなことばかりで以前のような力強さも感じることはなかった。

飼い主のそういった精神的の部分が
牛に影響し、しいては肉質にも影響しているのではないだろうか。

なんの根拠もないが、私にはそう思えてならない。


それから1年後、その農家さんに出会った。
久しぶりに以前のように元気な姿で話しかけてきた。


なにか良いことでもあったのか
顔は輝きを増し、言葉は力強くパワーを感じた。


数日後、たまたまだが、その農家さんの枝肉が入荷してきた。


スタッフ全員でサーロインを試食したのだが、
脂っぽい、うまい、あっさりしている、などなど
意見が分かれた。

もう少し寝かせてから(熟成)再度試食することにして
私は、スライス肉を自宅ですき焼きにしてみた。


するとどうだろう。

これぞ近江牛と言わんばかりの旨さとコク
そして口のなかで繊維が崩れるような柔らかさ。


とにかく、旨くてうまくて
動けなくなるまで食べてしまった。


どんなに科学が発達しても
心を持って接すれば、牛たちは応えてくれる。


それが牛飼いと言う仕事だと思う。

 


Twitter「つぶやく」ボタン

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

近江牛さかえや

近江牛の販売【近江牛ドットコム】
ホルモンの販売【ホルモンドットコム】
近江牛業務用卸
業務用焼肉のたれ

2011年06月17日(金)更新

香りまでもうまい熟成肉とは




昨年あたりから、ひそかに「熟成肉」がブームになりつつある。
雑誌でも特集が組まれているのを何度かみかけた。

しかし、熟成肉を極めるにはそうとうな知識と経験と「偶然」が必要だ。


熟成肉については、以前にいくつか書いているのでご覧ください。
(→クリック


私が修業時代には、あたりまえのように枝肉が流通し、
先輩が脱骨作業(捌き)した骨についている肉を、サバキ包丁で取り除き
骨の形を覚えたものだ。


冷蔵庫には、いつも枝肉が吊るされていて、
表面が乾いた状態のものや、中にはカビが生えているものもあった。


もちろん、使うときは表面を削るのだが、
いま思えば、何も意識することなく「熟成」がなされていたのだ。


しかし、次第に真空パックによる部分肉流通に変わり、
枝肉を扱う肉屋が激減していった。


それに伴い、職人を気取っている人でも
サバキができない人が増えていった。


熟成は、これが正解というのはないと思うのだが、
一般的には、真空パックにして冷蔵庫で熟成させる「ウェットエイジング」と、
表面を露出させた状態の肉を冷蔵庫で熟成させる「ドライエイジング」の2種類がある。


しかし、私の場合は、どちらにも属せず、
骨付きのまま露出させて、専用庫内に吊るした状態のまま熟成させるやり方だ。


ちなみに、来週にはロース肉専用の熟成庫が完成する。


うまく熟成された肉は、ナッツのような香りがして味に深みがある。
生で食べると通常の肉との違いが一目瞭然だ。



先日のこと、ある焼肉屋で熟成肉を食べた。



けっこうな値段だったので迷ったのだが、
勉強のためにと数種類の熟成肉を注文した。


黒毛和牛を1ヶ月半熟成させているとのことだったが、
あまりのマズさに愕然とした。


マズいというのは、肉がおいしくないという意味ではなく
熟成肉の味がしないということだ。


すなわち失敗作ということ。


まずは、熟成肉特有の香りがまったくしない。
そしてロースでありながら肉が硬い。


通常は、肉質が硬い経産牛でも熟成をかけると
ある程度、柔らかくなるのにだ。



本当に1ヶ月半も熟成させているのか?


どう味わっても、新しい肉の味しかしなかった。


熟成が流行ると、「熟成」を冠に付けたネーミングが横行しそうな気配だが
なにをもっての熟成なのか、いったいどういったやり方で熟成をしているのか。
などなど、しっかり明記して販売してほしいものだ。


「特選」や「極上」の表記がお咎めを受けるのと同じで、
「熟成」もそうならないことを願う。




Twitter「つぶやく」ボタン

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

近江牛さかえや

近江牛の販売【近江牛ドットコム】
ホルモンの販売【ホルモンドットコム】
近江牛業務用卸
業務用焼肉のたれ

2011年06月05日(日)更新

6/14 関西テレビ「よ~いドン!」に近江牛味噌漬け




 

図書館用児童書「世界の保存食」のなかに
「肉の保存食」として牛肉のみそ漬けが紹介されている。

当店からは写真を提供させていただいたのだが
なかなか好評だと聞いている。
 
さて、その昔、食肉は仏教に従い禁じられていました。

しかし、彦根藩だけが
幕府の陣太鼓に使う牛皮を献上していたことから、
全国で唯一、牛の屠殺が認められた藩だったのです。

しかし、中身の肉を食べることは禁止されていたので
反本丸(へんぽんがん)という名前の養生薬として偽ったというのです。

そして、当時はいまのようにクール宅急便もなく
かといって保冷方法もなかったので、毛が付いた状態の牛肉を味噌に漬けて、
彦根藩から将軍家や徳川御三家へ献上品としても使われました。

つまりは、禁止されていた牛肉を薬だと嘘をついて
江戸の将軍家たちが公然と食していたということです。

いまの時代ならえらいことです。

国会議員が議員宿舎にホステスを“お持ち帰り”したぐらいでは
すまされない大問題です。


では、なぜ御法度を破ってまで食されたのか?


今となっては推測に頼るのみですが、
つまりは単純に美味しかったからでしょう。


あまりにも将軍や重臣がご満悦だったので、
この秘密をわざわざ暴いて事を荒立たせる者など稀でした。

しかし、熱心な仏教徒だった井伊直弼は、
近江牛みそ漬けを固く禁じたのです。

そのことに端を発し、
そこから水戸藩とのしこりが芽生え、ついには暗殺されたのです。

たんなるゴシップかも知れませんが、
井伊直弼が「薬」の献上を断ち切ったおかげで
江戸から近江牛みそ漬けが消えたのは事実です。

そして、桜田門外の変で暗殺されたのも疑いようのない史実。

さて、将軍が苦しい言い訳をしてまで欲し、求める人に与えないと、
思わぬ悲劇さえ招きかねない近江牛みそ漬け、じつは私もハマってるんです。


とは言っても、20代、30代の頃は、
あまりおいしいと感じませんでした。


わざわざステーキ肉を味噌に漬けなくても
そのまま塩こしょうふって焼いてたほうがうまいやないか。
というのが正直なところでした。

40も半ば、50に近づくにつれ
霜降り肉を受け付けなくなり、赤身肉に嗜好が変わりつつあるとき、
何気に味噌漬けを食べたところ、めちゃくちゃうまくて驚きました。

日本酒やワインと一緒にいただくと
さらにおいしさ倍増で、将軍が夢中になるのも分かるというものです。


 

 
上記は、当店の一番人気「極上ロースみそ漬け」です。

近江牛のロース肉を西京みそに漬け込んだ逸品です。

6月14日(火)放送の、関西テレビ よ~いドン!の
番組内においてご紹介いただけます。

 


Twitter「つぶやく」ボタン

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

近江牛さかえや

近江牛の販売【近江牛ドットコム】
ホルモンの販売【ホルモンドットコム】
近江牛業務用卸
業務用焼肉のたれ

2011年05月22日(日)更新

霜降りに見せかけたステーキ


 


急に肉が食べたくなるときがある。

そんなときのために、サイコロ状にカットしたステーキ肉を
常に冷凍庫に保存している。

 


貰いものだが、
近江牛に合わせたワインだそうだ。


さて、ステーキといえばいつだったかこんなことがあった。


お客さん(正確にはお客さんじゃない)が
店頭で、買い物袋から肉らしきものを取り出した。


返品?それともクレーム?


と、一瞬ドキッとしたのだが


「これはどういうステーキなの?」


と言ってお客さんが見せたものが

スーパーで買ってきたというステーキだった。


最初、何を言ってるのか分からなかったのだが
あまりにも安いので気持ち悪いから見てほしいというのだ。


それなら買うなよ、と言いたいところだが・・・


そんなことはおくびにも出さすに
袋から取り出された肉を見てみると、


なんのことはない「インジェクションステーキ」だった。


インジェクションステーキとは、
オーストラリア産などの安価な赤身牛肉に、
注射針で牛脂を注入して霜降り肉に変えてしまう技術である。


写真がないのが残念だが、
こちらのサイトに詳しく載っていたのでリンクを貼っておくことに。
→クリック



これからBBQのシーズンになると
インジェクションのカルビなんかも出回ったりする。


たれ漬け商品なんかで安価なものは
インジェクションの場合が多い。


かなり前に、どんなものなのかと業者にサンプルをもらったことがある。

フライパンで焼くと、ぶくぶくと泡立ちはじめ
気持ち悪くて食べられなかった。


いくら安くても、そこまでして霜降り肉を食べることはないと思うのだが、


安いものには何かしら理由があるということだ。





 


Twitter「つぶやく」ボタン

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

近江牛さかえや

近江牛の販売【近江牛ドットコム】
ホルモンの販売【ホルモンドットコム】
近江牛業務用卸
業務用焼肉のたれ
«前へ 次へ»