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2010年11月12日(金)更新

柴山港のセリは寒さも吹き飛ぶ活気だった

カニが解禁になったその日、

友人、知人から「カニ解禁!」のタイトルで
メールがきた。

行きたいということなのか?
連れて行けということなのか・・・

どちらにしても、なんらかのアピールなんだろう。

さて、カニの世界も近江牛や松阪牛のようにブランドがある。

同じズワイガニでも、福井で揚がれば越前ガニだし、
京都、兵庫、鳥取で揚がれば松葉ガニと呼ぶ。

uomasa

仲買人をしている魚政さんの店内は
解禁直後ということもあってパニック状態だった。

ただ見ているだけで、手伝えないのがなんともジレンマで
無性に職人の血が騒ぐ。

さて、翌日は、早朝よりカニのセリに帯同できることになり
京丹後に宿泊することに。

sibayama

早朝5時45分に出発して約1時間

魚政の谷次さんイチオシの柴山港です。
この漁港はとにかくカニの選別が尋常じゃなく
本物を追求し続ける魚政のカニを支えていると誇らしげに語ってくれました。

ところで、カニの選別とは
どういうことかと言うと、

セリ前にどこの漁港でもカニのランク付けを行います。
これは牛で言うところの格付けです。

格付けはあくまでも人間の目で決めるものなので
ときには、それは違うやろと言いたくなることもあります。
カニも同様で人間の目で決めます。

カニのランク付けは、通常5~10程度だそうです。
ところが、柴山港のランク付けは100段階ぐらいあるそうなのです。

ノギス片手に1杯ずつ選別するというのです。
これは大変な作業で想像を絶しますが、それが谷次さんはじめ仲買人の
信用、信頼となって他の産地と差別化できているのです。

さて、そんな厳しいランク付けがされたカニたちが
いよいよセリにかけられます。



すごい活気です!
何を言ってるのかわかりません。

uomasa3

こうしてセリ落とされたカニたちは
その日のうちに魚政の店舗に運ばれるのです。

丹後から柴山港のある兵庫県香住町まで約1時間
さすがにシーズンがはじまれば観光客が多くなるので
カニの看板が目立ちます。

しかし、宿で使われているカニがすべて地ガニかと言えば
けっしてそうではないのです。
規模が大きくなればなるほど、輸入物に頼る場合が多いそうです。

これは近江牛でも同じで、滋賀県の宿やレストランで出されている牛肉は
近江牛よりも国産牛や輸入牛が大半です。

カニも同じで原価を抑えるためには仕方がないとはいえ
産地であってもロシア産など輸入カニを使うところが多いのです。

願うならば“本物”を使ってほしいし、そうすることが
丹後のPRにもつながるのではないかと思うのですが・・・

つづく

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2010年11月10日(水)更新

蟹解禁!京丹後へ

こっぺ

京丹後の魚政さんへ来ています。
蟹が解禁したばかりということで、
店内は右をみても左をみても蟹、カニ、かに、kani・・・

今日はせこ蟹だけで6千匹の入荷があったそうで
それはもう見ている私は楽しいのですが作業は大変な様子でした。

せこ蟹は、松葉かにの雌で雄に比べて小さいのですが
サクサクとした特有の食感がある外子と、
ルビーのような未成熟卵の内子、そしてなんといってもかに味噌です。

牛肉の場合も、霜降りが派手な雄よりも
どちらかといえば地味な雌が人気があります。

しかしながら大きく違うところが価格です。
牛肉の雌は高値で取引されるのですが、
せこ蟹は手頃な価格で買えます。

かにの産地も日本全国いろいろありますが、
水揚げされる土地なりの味になってしまうところも
牛肉と似ています。

続く


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2008年08月11日(月)更新

牛を育てる重さ

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BSE騒動以前は生産農家さんがメディアに取り上げられることは
業界誌以外ではめずらしいことでした。

ところが、最近では環境への取り組みや安全面への取り組みなど
近江牛の生産農家さんがメディアに取り上げられることが多くなりました。
弊社のホームページから問い合わせいただくことも多く、少しでも貢献できてる
のかと思うとうれしい限りです。

一般の方や食関連の方々から牧場を見学したいと
問い合わせいただくことも多くなりました。

いろんな形で近江牛に興味をもっていただくことは
ほんとにありがたいことです。
 
さて、たまにですが、ものすごい勘違いをされている方がおられまして
牧場を見学したいのですがソフトクリームとかも売ってますか?
と、ビックリするような問い合わせをいただくことがあります。
観光牧場と勘違いをされているのでしょうね。

生産農家さんの毎日は、牛にエサをやっているだけではなく
それはそれは忙しく、時間もあってないようなものです。
牛舎は毎日「命のやりとり」をしている現場なのです。

私宛にきた牧場見学の問い合わせに関しては
目的をお聞きしてお連れするか判断しています。
興味本位だけの方はお断りしています。

なぜかと言うと、興味本位の方は必ずといっていいほど

> かわいい目をしていますね。
> でも、食べられちゃうんですよね、かわいそう。

などと無神経なことを平気で口にします。

生産農家さんにとってはいちばん辛い質問です。

生産農家さんは、ほとんどの場合が家族総出で牛飼いをしています。
小学生の女の子も、中学生の男の子も、おじいちゃんもおばあちゃんも
全員で朝早くからエサをやり、病気だといえば徹夜で看病します。

それでも年に数頭は死なせてしまうことがあります。
でも、悲しんでいる暇はありません。
他の牛たちが同じ目にあわないよう原因を追及して今後の育成にいかします。

本当は悲しいし辛いんです。
でもそんな姿を牛に察知されないように普段通りに振舞うんです。

牛は何事もなく育っても30ヶ月前後で屠畜されます。
冒頭でも書きましたが、生産農家さんは絶えず命のやりとりをしているのです。 
牛飼いというのはそういう仕事なのです。

一歩外へ出れば、焼肉店やファミレス、コンビニなど
日本全国どこへ行っても牛肉が食べられます。
その裏ではこのように生産農家さんは「命のやりとり」をしているのです。

私も仕事とはいえ毎日のように肉を口にします。
だからといって生産農家さんの代わりはできません。

私だけじゃなく、みなさんも同じです。
生産農家さんは“私たち”の代わりをしてくれてるのです。
 
だから、かわいそう、などと言ってはいけないのです。
私たちの代わりをしてくれている生産農家さんに

> かわいそうですね。

などと言うこと自体が失礼なことなのです。

年が明ければ4月から新入社員が入社してきます。
吹けば飛ぶような小さな会社ですが、ようやく大卒を採用できるように
なりました。

最初の仕事は牛の世話からはじまります。
そこで命の尊さを学びます。

近江牛を販売しているのはもちろん当社だけではなく
県内はおろか県外でもたくさんのお店があります。

当社の取り組みは、「仕入れて販売する」というだけではなく
生産現場から精肉になるまでを見続けることが使命であり
それが「サカエヤの近江牛」というブランドなのです。

牧場でおこる日常を生産農家さん自身がブログで綴っています。
たまにアホなことも書いていますがご愛嬌ということで
生産農家さんを身近に感じていただければ幸いです。

近江牛が“うまい”のではなく、下記生産者がつくった近江牛を販売している
『サカエヤの牛肉』がうまいのです。
これが弊社の“こだわり”であり“自信”なのです。

木下牧場
後藤牧場
藤井牧場

2008年05月09日(金)更新

焼肉考(5)

これからの季節、なんといってもビールがうまい!
居酒屋で口のまわりを泡だらけにして

ぷふぁー、うま~いっ!
なんて言ってるオヤジをみると
痛風のボクは膝に痛みが走る。

タン

さて、みなさんが焼肉屋さんへ行くと
かなり高い確立で「タン塩」を頼むのではないでしょうか?

ところが、数年前と比べていまやタンは牛肉より高いんですね。
一時期、あまりにも高値が続くものだから焼肉屋さんによっては
売るのをヤメたという店まであったぐらいです。

あ、これすべて輸入牛のタンの話です。
国産牛のタンはよほどの強いルートを確立していない限り
仕入れるのはむつかしい。

BSE問題が起こる前までは、アメリカ産のタンが主流で
質も安定していてよかったのですが、輸入がなくなってからは
オーストラリア産が主流となり、品質の低下に加え流通量の少なさから
価格が高騰というアンバランスな現状です。

さて、焼肉屋さんへ行けばなぜ最初に「タン塩」なのか?

タンは味噌ベースのたれで食べるよりも
塩との相性が良いんですね。

こってりとしたロースやカルビを食べる前の
ウォーミングアップ的な感覚なんです。


tan
近江牛のタン原型。グロテスクないでたちだが気絶するほどうまい。
脱いだらスゴいんです。

2008年05月06日(火)更新

焼肉考(4)

マッスルホルモン
ホルモンを串に刺して提供するやり方がうけて大繁盛。
天満のマッスルホルモン。中森社長とはボクのブログからご縁をいただきました。


ホルモンは捨てるものを生かすという食のエコロジー

ホルモンの語源には諸説あるが、大阪弁で「捨てるもの」を意味する
「放(ほお)るもん」から、という説がある。

だとすれば、まさしくホルモンは、現代の食のエコロジー

煙が朦々(もうもう)としたなか、おっさんが汗ダクになってホルモンを食いちぎる。
ホルモンは男のスタミナ料理であって、ホルモン屋はおっさんのサンクチュアリ。
というのは一昔前の話...

いまや女性ファンも急増で美容食としても人気である。

ところがこのホルモン(内臓肉)をあつめるのが至難の業。
BSE以降、米国産の内臓が入荷しないことに端を発し、国産物は品薄状態。
さらには高騰が続き、ブランド牛の内臓肉ともなればまさにお宝ものである。
カラジャス鉄鉱山で金を探すガリンペイロのごとく、こだわりの焼肉屋は
上物の内臓肉を全国を股にかけて探しまくっているのが現状である。

事実、うちにも毎日のように内臓肉の問い合わせがある。
もちろん1件や2件という数ではない。

高級肉はお金を出せばなんとかなるが、内臓肉はそうはいかない。

牛肉はと畜後、10日前後寝かせる(熟成)ことにより、味がまろやかになり
肉質が柔らかくなるのだが、内臓肉を10日も寝かせれば腐ってしまう。
内臓肉こそ「鮮度が命」なのである。

そして一番の問題は、内臓肉のなんたるかを知らない人が多すぎるということだ。
とくに“にわかホルモンファン”に多くみられる。

うわぁー、テッチャンだって~
元彼とおんなじ名前~

なんて言いながらあまりの硬さに
元カレへの恨みも込めてクレームをいう。

内臓肉はレバー以外は硬いのが前提で、それを楽しむのが流儀である。
8割噛んで2割飲み込む。これが正統派である。

知りもせずマメ(腎臓)を頼んで、おしっこの臭いがする~
と、大騒ぎの方を目撃したことがある。

大阪の某店でのことだったが、店主の対応がすばらしかった。

「そんなもんです」

牛肉以上に手のかかる内臓肉
少しでも食べやすくするために隠し包丁を入れたり
細かな牛毛をピンセットで1本1本取り除いたり、冬の洗浄なんかは
涙がでるくらい手が凍える。

内臓肉は牛肉と違って、部位によって産地が異なり、それを見極めるのが
プロの仕事、ということになる。

牛肉の場合であれば、近江牛のA5でBMS(霜降り度合)が10なら
ロースでもモモでも、どこを切っても良いハズである。

ところが内臓肉はそうはいかない。
いくら牛が良くても、内臓は部位によっては使えないものがあるのです。

例えばミノ(胃)を例にとると、和牛は運動させないから筋肉が発達せず
太く肉厚のミノに仕上がらないのです。
かたや草や干し草で育てる輸入牛のミノは、放牧させ筋肉を動かせるため
分厚く、肉厚のミノに仕上がるのです。

このあたりも内臓肉のおもしろいところです。


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