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2012年03月20日(火)更新

ハレの日



先日、大阪で講演を行った際の懇親会でのこと。
隣に座った24歳(女性)との会話がおもしろかった。

おもしろいというより、新鮮?いや違う、驚いたというほうが正しいかも知れない。

これが「いまどき」なのかどうかは他の若者と比較したわけではないので定かではないのだが
とにかく私の常識、「あたりまえ」とは逸脱していた。

以前、うちのバイト(学生)が飛騨高山に旅行に行った時の話をした。
素泊まりで、食事は近くのコンビニで済ませたそうで、旅行の楽しみといえば泊るところもそうなのだが
その土地の料理がメインみたいなもの。飛騨まで行ったのなら飛騨牛食べないと・・・

なんて話をしたのだが、驚きもせず私もそうしますよ。
と、いとも簡単に言い放ついまどきの子。

車も別に必要ないし、どうしても必要にせまられればレンタカーがあるし
第一、電車で十分事足りるでしょう。とのことだった。

驚いたのが、「ハレの日」についてだ。

昔は「ハレの日」に食べるのが牛肉であって・・・
なんてことを話すと、「へぇー、昔の人は天気の良い日はお肉を食べるんですね」との
私の引き出しにはないボケ(失礼、当人はいったって真面目でした)

検索すると「ハレの日」はこういうことだ。

「ハレの日」とは、ふだんの生活を示す「ケ」に対して、
冠婚葬祭や年中行事(お祭り)などが行われる改まった日を呼ばれました。

ハレの日になると、普段着とは違った晴れ着を身につけ、おせち料理などの特別な料理を作って、
神や近所の人々と共に飲食する風習がありました。

もともと米や酒もハレの日にだけ許された食べ物でした。
特に昔で言うところのお百姓さんは、ききんや日照り続きで、年貢に事欠くことがあっても、
このハレの日を励みに頑張ることができました。

そうした意味では、かつての日本人にとって、ハレの日は社会生活上の「飴」でもあったのです。



つまりは、昔は牛肉は高価なものだったということもあり
盆正月など特別な日に食べるものとしての位置付けだったのだ。

高い安いは別にして、現在では日常であたりまえのように牛肉を食べる機会が多くある。

それはそれでいいのだが、「ハレの日」には、服を新調して特別なものを食べて
非日常的であってほしいと思う。

そういうことをいつまでも大切に思える人間でありたいと思う。



 


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2012年03月18日(日)更新

エシカルな時代に目指すのはエシカルな牛肉







今月は講演が多く、自分がいったい何屋なのかと思うぐらい少しハードだ。

正真正銘、肉屋であり、肉屋しかできない私だからこそ伝えることができることがあり
参加者のみなさんは、忙しい時間を割いて聞きに来てくれる。

しかし、申し訳ないが私はしゃべりがうまくないので、日によって出来不出来があるわけだ。
いままで納得できたしゃべりなんて1回もないが、それでも共感できる内容だったと言って
もらえると、自分の中ではホッとするわけで、時間をかけてレジメを作ったかいがあるというものだ。

さて、先日、ネットショップコンテスト北陸2012の表彰式において
基調講演をやらせていただいた。

以前からネットショップ系の講演をよく頼まれるのだが、
私にテクニックの話を期待しても無駄なわけで得意なのは根性論なのだ(笑)

餅は餅屋で、テクニック的な話は、その筋の方の講演を聞けばいいわけで
私が期待されるのは、実際にサイト運営しての実務から基づく経験談なのだ。

しかし、ここ最近感じることは、方向性についてだ。
自分が進むべき方向はこちらで合っているのか?

どこへ行っても参加者の感想からそんなことを感じることが多い。

2008年に「エシカル」という言葉を知ったのだが
ついに、というかやっとというか、先日病院の待合室で読んだ女性誌にも
「エシカル」について書かれていた。

エシカルとは直訳すると“倫理的”“道徳的”という意味で
エコやロハスに続く、新たな環境保護を目的としたキーワードとして注目をされている。

欧米では浸透しているエシカルだが、日本ではフェトレードがなじみ深い。
ただ、エシカルは環境保護だけではなく、地域や社会貢献まで考えた消費行動や
ライフスタイルで、幅広い意味を持つ。

震災から1年が過ぎ、少しずつだが日本人の消費行動が変化しつつある。
いままでは「自分のための消費」だったように思うのだが、この1年をみていると
「消費を通して支援を行う」へシフトへしつつあるに感じる。

もちろん、まだまだ少数ではあるが、「エシカル」を実践する人が増えれば
消費者は善意による幸福感が得られ、支援先に喜んでもらえる。

企業はイメージアップにつながり、末長く支援ができるというもの。

エシカルは、企業・消費者・支援先の三方が幸せになれる消費活動であり
いわゆる「三方よし」の教えなのだ。

さて、話を牛肉に戻そう。

和牛の肥育は、無理やりサシを入れるやり方が、ここ10年ほどで主流になってきた。
「和牛=霜降り」を否定する気はまったくないのだが、狭い畜舎に牛を詰め込んで
輸入の穀物飼料をたっぷり食べさせ、不健康なまでにサシを入れるやり方は
どうも好きにはなれない。

やれA5だの、チャンピオン牛だのと霜降り肉の押しつけのような売り方、見せ方は
今後、グローバルな視点からみればどうなんだろうと考えてしまう。

やりようによっては、国産グラスフィーディングの可能性だったあるわけだ。
もちろん、サシが入らない可能性が大きいので、受け入れ先の問題などがでてくるが
ギトギトした霜降り肉より、よほど旨くて肉本来の味がある。

ビタミンAやEもたっぷり入って健康にもいいし、草を多く給餌するので
βカロチンも摂取できる。

ということは、若さを保ち発がん性の予防にもつながるので、サプリメントを
必要以上に摂らなくてもいいということになる。

何度も言うが、霜降り肉を否定している訳ではない。
輸入自由化のときもそうであったように、TPPの影響で安価な輸入牛肉が巷に溢れたとき
価格競合を避けるためには、格付けが必要なのは承知している。

ネットショップ運営者が方向性について悩んでいるのと同様に
私たち畜産に携わる者も軸をしっかり立てて、どの道に進むべきなのか
真剣に考えるときがきているのではないだろうか。






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2012年01月30日(月)更新

奇跡のりんごが届いた



























「奇跡のりんご」の木村秋則さんを京都にお呼びして講演していただいたのが2年前


当日は、伊丹空港まで迎えに行き、車内で私が空港内で買った弁当を食べながら
京都の会場へ向かった。


時間にして1時間程度だったが、木村さんはしゃべりっぱなしだった。
講演では聞けないような話もしてくれた。



どうしたら大馬鹿者の大天才になれるのか...市川海老蔵


怒涛の4月、まずは奇跡のりんご、木村秋則さん



木村秋則さんについては、茂木健一郎さんの解説がわかりやすい。


ここまで木村さんを知ると、どうしても「りんご」が食べたくなる。


しかし、これがなかなか手に入らない。
聞くところによると3年待ちだそうだ。

木村さんのホームページにも記載されている。


昨年のこと、知り合いのお子さんが難病になってしまい
なんとかして木村さんのりんごを食べさせてやりたいと思った。

「奇跡のりんご」を食べて奇跡を起こしてほしい。

シャレやないけどそれぐらいしか私には思いつかなかった。


ありがたいことに、私と木村さんを繋いでくれた方が
木村さんの農園に出入りしていることもあり、なんとかなりそうとのことだった。


とりあえずはお願いしておいたのだが
昨年はりんごが不作だったらしくて送られてこなかった。


しばらく間があったので、りんごのことはすっかり忘れていた。


縁があればそのうち食べられるだろう・・・
そんなふうに思っていたのだが、昨日、貴重なりんごが届いた。


予測していなかったので驚いた。


さっそく、知人に電話してとりにきてもらった。
その日のうちに、Facebookにりんごを食べている子供の笑顔がアップされていた。



素敵な笑顔だった。


縁者の方々にも少しずつだがもらってもらった。
私も1個食べたが、身がしっかりしていて甘かった。



奇跡のりんごは腐らない。
しぼむだけだと聞いているので、あとの数個はしばらく食べずに飾っておくことにした。 


木村さんのりんごだったら1個、1,000円でも2,000円でも売れるだろう。
手間暇がかかっている分、ストーリー性もあるのでお客さんも納得して買うだろう。


しかし、奇跡のりんごはスーパーで売られているりんごと変わらない値段だ。



話は変わるが、日本には数えきれないほどのブランド牛が存在する。

有名無名はあるが、なにがどう違うのだろうか。

例えば、有名どころでは、松阪牛、神戸牛、米沢牛、前沢牛、飛騨牛などなど
もちろん、近江牛も入るだろう。


これらの仕入れ価格は、格付けによっては差があるだろうが
どこそこのブランド牛だからといって、驚くほど高く仕入れていることはない。

相場というものがあるので、それほど変わらないのだ。


しかし、販売価格を比べると、例えば同じロースでも、100g2,000円もあれば4,000円もあり
なかには、6,000円というビックリするような価格もある。

なぜこうも違うのか?

百貨店のテナントであれば場所代もいるだろうし、
従業員を多くかかえていれば経費もかかるだろう

考え方は各々違うだろうし、いくらで売ろうがそれは自由だ。

では、ネット販売における価格の違いはどうなのだろうか?


おっと、これから、京都へ出かけなければ行けないのでタイムアウトだ。








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2012年01月27日(金)更新

一歩先の気配り






















牧場へ連れて行ってほしいと声をかけられることが多い。

夏場はいいのだが、まわりに防ぐものがない牛舎は極寒で
四方八方から風やら雪やら、この時期は勘弁してほしい。

さて、某有名な大企業の社長から電話がかかってきた。

昼前にはそっちに着くから牛がみたいと。

電車でやってきた社長さんは、ジーンズにブーツといったいでたちだ。

この時期の牛舎は、雨風のためにかなり汚れている。
おまけに牛糞が所狭しと転がっていたりするので、靴は泥だらけになり帰りの車内に
素敵な匂いをまき散らすことになること間違いない。

社長さんには、トランクに積んでいた長靴に履きかえてもらい
牛舎内を一通り案内した。

案の定、長靴は泥まみれの牛糞まみれになった。

社長さんは、その長靴を素手で洗い出した。

この光景を見たのは今回だけではない。
過去にも3回程度、同じような場面に出くわしたことがある。

長靴にこびりついた牛糞は、時間の経過とともに硬くなり
少々の洗いではとれないのを、この社長さんは知っているのだ。

多少の気配りは私もできると自負しているのだが
一歩先を見越した気配りができるようになるには、まだまだ修行が足りない。





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2012年01月17日(火)更新

結果より成果





樋口農園さんの野菜です。

カウンター越しにシェフが笑顔で説明してくれた。

樋口農園てどこにあるのかさえも知らないけど
こだわった野菜を作っているのだなという気持ちが伝わる。

本物の土ではありませんので、どうぞ召し上がってみてください。

料理の合間にふたたびカウンター越しに
シェフが笑顔でそう言った。

容器の中に樋口農園を再現しているのだろうが
このあとも心憎いばかりの演出が続いた。

さて、一昨年から開催している朝市だが
メインは牛肉ではなく、草津市の若手農家の筆頭、田渕農園さん直送の野菜たちだ。

月1から月2、そして毎週の開催となり、少しずつだが認知度もあがってきた。
新鮮でおいしい野菜なのでそのうち売れる日がくるだとうと、そんな感じで販売を続けてきた。

振りかえると、とにかくおいしい野菜で、しかも若者が農業をがんばっている姿を応援したくて
利益なしで販売していた。

ついでに、牛肉でも買ってくれればいいや、みたいな感じでスタートした。

売れなかった。

1回買った方は、かなりの確率で次も来てくれた。
やっぱり田渕さんの野菜はうまいんや。
そんな思いがスタッフみんなにあったと思う。

しかし、スタッフが手づくりのビラを配る程度の告知では
完売することがなかった。
いつも最後は自分たちが買って帰るはめだった。

野菜の担当者は、定休日の日も畑へ行って
次回の打ち合わせをしたりしていた。

そんな努力もむなしく完売することはなった。

夏場は、野菜が少ないこともあり、朝市は休止となり
秋からふたたびはじまるのだが、スタッフが価格について話し合っているのを
傍らでずーっと聞いていた。

とにかく安く、という流れになりそうだったので
そんなにおいしい野菜だと思うのであれば、高く売ればいいと
アドバイスした。

原価でも売れない、スーパーより安くしても売れない野菜が
そんなに高くして売れるのかと、みんなの顔に不安が見え隠れした。

そして、先日、はじめて完売したと担当者から
出張先の私にメールが届いた。

当たり前のことだが、商売もスポーツも結果がすべてだと思う。
いくら厳しい練習をしても負けてしまえばお終いだ。

しかし、行動やプロセスも同時に評価してこその結果だと考えれば
成果に目を向けていきたい。




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