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2011年06月13日(月)更新

本当においしい肉の追求



牛肉の格付けについては何度も書いてきたのだが、
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まだまだ私の考えというか取り組みが中途半端で
生産者の方々と仕切りなおさなければいけない部分がでてきた。

世間ではA5の評価を受けた牛肉がもてはやされているが、
実際は、脂くどくて2~3切れも食べれば満足してしまう。

ブランド牛であれ、ノンブランド牛であれ
雌牛であれ雄牛であれ、サシが強ければ結果は同じだ。

自分自身が食べたくないものは販売したくない。

相場が安値でもA5は買わないことにしている。
懇意にしている生産者が出荷した枝肉がA5評価を受けた時は
たまにだが買うときもあるが、できれば避けたい。

さて、写真のサーロインはA4でBMS7の評価だが
見てのとおりサシが多い。

それでも他の肉よりも比較的食べやすいと思っていたのだが、
2~3切れで満足してしまったとの感想をいただいた。

しゃぶしゃぶにすれば、もう少し食べやすいだろうが、
すき焼きやステーキだと、このクラスでも重いようだ。

食味は2切れ程度だったので
次回からはガッツリ200g食べたほうがよさそうだ。

但馬系の小ぶりな枝肉を厳選し
生産者や飼料に関してもある程度把握しているので
これぐらいのサシでも比較的あっさりとした食感だと思っていたのだが
BMSが上げれば上がるほどくどいようだ。

たまに、サシが入っていてもあっさりした食感のものもあるのだが
確率的には低い。

BMS6でも、よく似たものだろう。

BMS5、もしくはA3でBMS3か4あたりが
200gをおいしく食べきれるラインなのかも知れない。

2切れ程度を食べてもらうには、
それこそA5のサシが十分に入った肉のほうが良いのかも知れない。

しかし、私が目指しているのは200g完食なので
食べておいしい肉の追求なのだ。

そうすると、やはりA5はもちろんだが
A4でもBMS7は避けたほうが良さそうだ。

格付けが優れた肉でもモモ系はOKだが、
ロース系はこれからの時代にそぐわなくなるだろう。

ただ難点は、格付けが低ければ低いほど日持ちが悪いということだ。

赤身が多くなればドリップもでやすく、変色も避けられない。

発送して包みを開けてみれば真っ黒、なんてこともあり得る。

へたすればクレームになりかねない。

逆にサシの多い肉は、変色も少ない。
そらそうだろう、脂なんだから色変りが少なくて当たり前だ。

もうひとつの難点は、生産者の生活保障だ。

赤身になるように育てて、結果A2やA3ばかりの肉牛に仕上がった場合
市場に出せば、とんでもなく安価でセリ落とされる危険性がつきまとう。

仕上がりの結果として赤身になるのではなく、
わざわざ赤身になるように育てるには、高い飼料を与えたり、
それなりに経費もかかるので、ある程度の金額で取引しなければ
生産農家の経営が危うくなる。

それには、適正価格(生活が維持できる金額)で取引できるように
もっと企業努力する必要がある。

方向性は決まっているので
見せ方、切り口をしっかり伝えきる必要がありそうだ。





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2011年05月16日(月)更新

牛肉の格付けを知る

牛肉(枝肉)には格付けというものがある。

A5という言葉を聞いたことがあるだろうか?

一昔前なら畜産業界にたずさわっている者にしか分からなかったこの言葉、
テレビのグルメ番組や雑誌で見たり、なんとなく聞き覚えがあるという方、多いのではないでしょうか。

牛肉(枝肉)の格付けを簡単に説明すると、ABCが歩留まり等級といって、一頭の枝肉からとれる
肉の量を表します。

1~5の肉質等級で、サシの入り方を表します。

それらを組み合わせるわけだが、Aの5というのが最も上級の格付けとなります。

さきほどテレビや雑誌で、と書きましたが、なぜメディアはA5ばかりを取り上げるのか?

また、焼肉店をはじめとする飲食店でもA5を冠とした牛肉をアピールしている場面をよくみかけるが
つまりはこういうことなのです。

最上級の格付けであるA5であれば間違いなくうまい、テレビの性質上、A5でないと番組上、絵にならない。
とまぁ、このようなことが推測されるわけです。

A5がクローズアップされたおかげで、最近では一般の消費者にも牛肉はA5が最高などと
良くも悪くも浸透しているのが現状です。

しかし、格付けの評価基準は、歩留まりと肉質で判断しているので、味は考慮されていないのです。

とは言っても、一頭一頭を食味検査するには大変な労力がかかるだろうし、
第一人間の舌では好みの問題もあるだろうから実際にはむつかしい問題なのです。

でも、以前に日経MJに牛肉の脂肪に含まれる食味成分のオレイン酸を
数値化し、ブランド力を高めようといった記事が載っていたのを記憶している。

見た目重視の格付けだけでは味はわからないが、
「オレイン酸」を数値化することで「おいしさ」の指標となることが期待されるという内容だった。

さらに、食肉業界唯一の業界紙(食肉通信)にこんな記事が掲載されていた。

格付けに関係なく、おいしい牛肉にはうまみ、甘みがある。
言い換えれば、A5でもうまみや甘みに欠けたものもあるし、A3でも甘みのある肉質に出くわすことがある。

うまみ成分は赤身部分に由来するグルタミン酸が代表的だが
アミノ酸には「甘味系アミノ酸」「旨味系アミノ酸」「苦味系アミノ酸」などがあり、
それらが複雑に作用しあっておいしさを作りだしている。

食感には、肉の軟らかさが、多汁性には脂肪の質、いわゆるオレイン酸
(不飽和脂肪酸)が大きくかかわる。

脂の融点の低さは和牛全般にいえる特徴であり、オレイン酸が多い牛肉ほど脂が軟らかく滑らかになる。

オレイン酸の果たす役目は高く、系統や肥育期間によっても異なると言われている。

脂肪に含まれるオレイン酸の多さは遺伝(品種、性別、血統)によって大きく左右され、
肥育期間の長さにも関係すると言われている。

ただ、肥育期間が長くなりすぎると肉の締まりがよくないので個人的には疑問が残る。

もともと和牛はオレイン酸を多くつくりだす遺伝子を持っているのだが、
その遺伝子がとくに強く発現するのが但馬系だといわれている。

当店で仕入れている枝肉のほとんどが但馬系なので、なるほどと思う点も多々あるのだが
かと言って、オレイン酸がおいしさのすべてではないと思うし、オレイン酸は関係ないとの意見もあるので
エージングや食べるタイミング、もっというならば保存方法に至るまで、すべてのプロセスがおいしさに
関係するのではないかと思う。

ともあれ、サシ志向の見方からおいしさ重視へ変化しつつあるのは間違いないだろう。


さて、前置きが長くなったが、牛肉の格付けについて解説していきます。


★牛肉(枝肉)の格付けは「日本食肉格付協会」が定めています。
セリで購買するときや取引するときの目安になるのが格付けです。

●歩留まり等級と肉質等級

歩留まり等級は三区分(A,B,C)、肉質等級五区分(1,2,3,4,5)で分離評価されます。

全部で15通りから格付けされ、脂肪交雑、肉の色沢、肉の締まり、きめの各項目から最高の等級5~最低の等級1まで
5段階で判定されます。

枝肉重量に対する部分肉重量の割合。その区分を示したのが歩留まり等級です。


 

・枝肉とは・・・生体(生きた牛)から皮、内臓を取り除いた状態を枝肉(エダニク)と呼びます。 日本全国で行われているセリは枝肉の状態で競売にかけられます。


  



 

●肉質等級 (高) 5 - 4 - 3 - 2 - 1 (低)
 

 

●脂肪交雑・・・シリコン樹脂製のBMS(ビーフ・マーブリング・スタンダード)で判定します。
 


 

 

・BMSとは・・・画像解析で得たデータをもとに農林水産省畜産試験場が開発したものです。
十二個の牛脂肪交雑基準模型があり、肉眼で見て脂肪交雑が皆無状態のNo.1から脂肪交雑5のNo.12まで
その変化を数値で表しています。

 



・肉の色択・・・肉の色択判定は肉色と光沢の複合評価となります。
肉色はシリコン製樹脂製のBCS(ビーフ・カラー・スタンダード)で判定します。
光沢は肉眼で判定し、質は触感でネバリから判定されます。

脂肪色はNo.1の白からクリーム色、黄色とNo.7、までの変化で示されています。

 


 

 
・肉の締まり、きめ・・・機械判定が不可能なことから肉眼と触感で判定します。
締まりは筋肉の保水力、きめはロース芯断面から等級を決定します。




 

  • 肉の締り及びきめ 



 

  • 肉の締り及びきめの等級区分




 

参考資料:JMGA 公益社団法人 日本食肉格付協会


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