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2011年12月10日(土)更新

安全確保は消費者の権利



最近の講演は、USTREAMで配信されるのことが多いので
カメラの向こうでもリアルに見られていると思うと妙に緊張する。

さて、先日の講演では過去10年間に畜産業界で起こった
偽装事件をピックアップした。

スライドの写真は、偽装とは異なるのだが、近江牛の証明書だ。
内容は、近江牛認定書、生産履歴書、子牛登記書、出荷証明書、放射能検査書の5枚だ。

いまや安全確保は消費者の権利であるという考え方から
これらの書類を同封して「安全」への証明としているわけだが
生産者から消費者の元に辿りつくには、いくつもの流通過程がある。

つまり、大きな枝肉をそのまま流通させるにはなんら問題はないのだが
枝肉から部位別に細か分かれることが一般的だ。

そのたびに、証明書がコピーされるわけだから結局100枚でも200枚でも
同じ証明書が存在することになる。

国産牛に近江牛の証明書をつけて・・・

なんてことも、やろうと思えば簡単にできてしまうのだ。

紙っきれを信用するのではなく、もっと取り組みをみて買い物してほしい。
ネット上には、いかにも的な広告がたくさんある。

そういうものに惑わされずに、商品の背景を知り
ブランドよりもどこの店で買うのかを重要視していただきたい。

先月、こんな事件があった。

北海道石狩市の焼肉レストランが中国人の団体旅行客に
さまざまな産地から仕入れた国産和牛を「松阪牛」と称して販売していたというのだ。

偽装していたのは、サーロインとヒレの2種類で
1枚180グラム程度をそれぞれ3700円前後で販売していたらしい。

問題はここからだ。

店側はこれらの牛肉を箱詰めにして、生産者が記された松阪牛の証明書をコピーし
さらには「松阪」と印字された自作のシールを箱に貼るなどの工作もしていた。

まさしく、証明書のコピーのバラまきだ。

こういった事件は10年前から後を絶たないが
今後も公になるかならないかだけで、なくなることはないだろう。

当店でも証明書は付けているが、それよりも取り組みを知ってもらうことが
重要であり、消費者の方は商品の裏側をしっかり見て買い物していただきたい。