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2008年05月06日(火)更新

焼肉考(4)

マッスルホルモン
ホルモンを串に刺して提供するやり方がうけて大繁盛。
天満のマッスルホルモン。中森社長とはボクのブログからご縁をいただきました。


ホルモンは捨てるものを生かすという食のエコロジー

ホルモンの語源には諸説あるが、大阪弁で「捨てるもの」を意味する
「放(ほお)るもん」から、という説がある。

だとすれば、まさしくホルモンは、現代の食のエコロジー

煙が朦々(もうもう)としたなか、おっさんが汗ダクになってホルモンを食いちぎる。
ホルモンは男のスタミナ料理であって、ホルモン屋はおっさんのサンクチュアリ。
というのは一昔前の話...

いまや女性ファンも急増で美容食としても人気である。

ところがこのホルモン(内臓肉)をあつめるのが至難の業。
BSE以降、米国産の内臓が入荷しないことに端を発し、国産物は品薄状態。
さらには高騰が続き、ブランド牛の内臓肉ともなればまさにお宝ものである。
カラジャス鉄鉱山で金を探すガリンペイロのごとく、こだわりの焼肉屋は
上物の内臓肉を全国を股にかけて探しまくっているのが現状である。

事実、うちにも毎日のように内臓肉の問い合わせがある。
もちろん1件や2件という数ではない。

高級肉はお金を出せばなんとかなるが、内臓肉はそうはいかない。

牛肉はと畜後、10日前後寝かせる(熟成)ことにより、味がまろやかになり
肉質が柔らかくなるのだが、内臓肉を10日も寝かせれば腐ってしまう。
内臓肉こそ「鮮度が命」なのである。

そして一番の問題は、内臓肉のなんたるかを知らない人が多すぎるということだ。
とくに“にわかホルモンファン”に多くみられる。

うわぁー、テッチャンだって~
元彼とおんなじ名前~

なんて言いながらあまりの硬さに
元カレへの恨みも込めてクレームをいう。

内臓肉はレバー以外は硬いのが前提で、それを楽しむのが流儀である。
8割噛んで2割飲み込む。これが正統派である。

知りもせずマメ(腎臓)を頼んで、おしっこの臭いがする~
と、大騒ぎの方を目撃したことがある。

大阪の某店でのことだったが、店主の対応がすばらしかった。

「そんなもんです」

牛肉以上に手のかかる内臓肉
少しでも食べやすくするために隠し包丁を入れたり
細かな牛毛をピンセットで1本1本取り除いたり、冬の洗浄なんかは
涙がでるくらい手が凍える。

内臓肉は牛肉と違って、部位によって産地が異なり、それを見極めるのが
プロの仕事、ということになる。

牛肉の場合であれば、近江牛のA5でBMS(霜降り度合)が10なら
ロースでもモモでも、どこを切っても良いハズである。

ところが内臓肉はそうはいかない。
いくら牛が良くても、内臓は部位によっては使えないものがあるのです。

例えばミノ(胃)を例にとると、和牛は運動させないから筋肉が発達せず
太く肉厚のミノに仕上がらないのです。
かたや草や干し草で育てる輸入牛のミノは、放牧させ筋肉を動かせるため
分厚く、肉厚のミノに仕上がるのです。

このあたりも内臓肉のおもしろいところです。


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